ペイシェント3月の第2木曜日は世界腎臓デー 慢性腎臓病を理解し、防ぐためのイベントを開催(前編)

「慢性腎臓病(CKD)」についてより多くの人に周知するため、当社は3月14日に啓発イベントを東京・大手町の大手町仲通りにて開催しました。この催しは毎年3月第2木曜日に制定されている「世界腎臓デー」に合わせてNPO法人日本腎臓病協会とともにコーポレートコミュニケーション部のペイシェントアドボカシーグループを中心に行ったもので、疾患に関するミニセミナーや尿検査などの健康診断コーナーなどを設け、腎臓について知識を深めていくきっかけとなるよう参加を呼びかけました。Storiesではこのイベントの模様をレポートします。

  • ペイシェントアドボカシー活動(PA活動)
    患者および医師コミュニティとの対話と連携により、社会の疾患に関する正しい理解を促進し、さらに事業のバリューチェーン全体を通じて未充足の医療ニーズの解決に取り組み、病気と向き合う人々に笑顔をもたらす活動は、協和キリンにおいて「PA(ピーエー)活動」と呼ばれている。

3月第2木曜日は世界腎臓デー

「慢性腎臓病(CKD)」は、腎障害や腎機能の低下が持続する疾患で、日本国内の患者数は1,480万人にもなるといわれています。これは、20歳以上の約7人に1人がCKD患者という計算となり、初期の自覚症状がほとんどないため気付かないうちに進行していることが多いのも特徴です。早期であれば治療で回復できますが、CKDが進行するにつれ、夜間尿やむくみ、貧血、倦怠感、息切れなどが起こり、一定以上悪くなってしまうと自然に治ることはなく、進行すれば透析療法や腎臓移植が必要になってしまいます※1

当社では、NPO法人日本腎臓病協会と2019年5月に腎臓病の疾患啓発活動に関する連携協定を締結しており、これまでにもさまざまな啓発活動を積極的に展開してきています。※2今年は3月14日の世界腎臓デー当日に、広く一般の方にCKDについて知っていただく機会となるようにイベントを開催しました。

  1. ※1参考;「知ろう。ふせごう。慢性腎臓病」慢性腎臓病(CKD)って?最終アクセス日2024年4月24日
  2. ※2ニュースリリース;日本腎臓病協会と協和キリン 慢性腎臓病(CKD) の疾患認知度に関するアンケート調査を実施pdfが開きます 最終アクセス日2024年7月12日

腎臓は全身に関わる臓器

松尾七重医師
イベントでは、医師や看護師ら専門家によるミニセミナーを開催。

東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科の松尾七重医師からは、「腎臓って何をしている臓器?」と腎臓に関するクイズが出題されました。選択肢は「A:体の老廃物を捨てる B:貧血を良くする C:骨を丈夫にする」の3つ。実は、ABCすべてが腎臓の役割で「腎臓が老廃物を捨てる役割と言うのは有名ですが、実は全身にかかわる臓器なので、ぜひ覚えておいてください」と松尾医師は腎臓の重要性を解説しました。そして、腎臓を悪くすると、骨折や認知症、心筋梗塞のリスクも高まることや、太りすぎや高血糖、高血圧が腎臓を悪くしてしまうので、生活習慣の改善が必要であることなどを、クイズを交えて分かりやすく伝えてくださいました。

減塩で腎臓に良い食習慣

管理栄養士の小中原康子氏

管理栄養士の小中原康子氏からは、腎臓に良い食習慣として減塩が勧められました。2019年のデータによると、日本人は1日で男性10.9g、女性9.3gの塩分を摂取していると言われています。※1健康な人の場合、1日の食塩摂取目標量は男性7.5g未満、女性6.5g未満とされており、※2一般的な食生活では塩分の摂りすぎになってしまうといいます。さらに、腎臓病の人や高血圧の人は、6g未満に抑えた方が良いこと、食事の塩分を減らす工夫として、汁物は具沢山にして汁の量を減らすことや、麺類の頻度を減らしてスープは飲まないようにすること、調味料はかけるよりも小皿などにとってつける方が使いすぎないことなど、さまざまな減塩のコツやアドバイスをいただきました。

  1. ※1出典;厚生労働省 国民健康・栄養調査
  2. ※2出典;日本人の食事摂取基準2020年版

腎臓を守るためにも正しい服薬を

薬剤師の四方公亮氏

薬剤師の四方公亮氏からは、薬と腎臓の関係について解説が行われました。薬にはおもに「一時的に症状を改善する」「長期的に症状を悪化させない、状態を維持・改善する」といった役割があります。効果が実感しにくいものでも、例えば長期的に服用することで腎臓を守ってくれるような働きもあるので、処方薬は指示通りに服用することが大切だと話します。一方で、腎臓は薬を排泄する役割も担っており、腎臓の働きが低下している人の場合は薬の副作用などが出やすくなってしまうことがあるそうです。一部の痛み止めや風邪薬などの中には腎臓に負担がかかりやすいものもあるため、市販薬でも注意が必要。小さなことでも薬剤師に相談し、その際には「おくすり手帳」もしっかりと活用してほしいとお話しいただきました。

運動や禁煙、よい睡眠で腎臓を守る生活

看護師の青木和美氏

看護師の青木和美氏からは、腎臓を守るためにできることとして、運動などさまざまな生活習慣への提案が行われました。理想的な運動習慣として、心拍数100~120回/分程度の運動を1回30分~60分ほど、週に2~3回のペースでできるような「ややきつめの有酸素運動」が良いそうです。継続できることが大切なため、「楽しんでできる運動をぜひ見つけてほしい」とお話しされていました。また禁煙も勧めており、禁煙治療は保険適応となるため禁煙外来受診の推奨や、よりよい睡眠を得るためにもいびきや無呼吸がある場合にはかかりつけ医への相談も呼びかけられました。そのほか、血圧を急上昇させる行動を避けることにも気を付けてほしいと話し、冬場のトイレや脱衣所は暖房で暖めておく、排便時のいきみを避けるためにも便秘の改善をするなどの細かな生活習慣にもアドバイスしていただきました。

ミニセミナーには、大手町で働くオフィスワーカーの方たちなどが足を止めて参加し、腎臓の働きについての解説や腎臓を守る習慣についてのアドバイスを頷きながら聞き入っていました。

後編では、健診ブースでの様子や、イベントでの医療相談にも参加していただいた福井亮医師にお聞きしたお話をお伝えします。

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