- ※セルフマネジメント休暇とは、「自身の心身の状態や私生活でのイベントを自らマネジメントし、ベストコンディションで業務を遂行していく状態を主体的につくること」を目的として、年次有給休暇と別途付与される有給の休暇である。生理や不妊治療、介護・看護など様々な事由が取得対象になる。
People & Culture社内でタブーに感じていた「生理」と「不妊治療」。女性特有の問題を敢えてオープンにする意味とは?―後編
前編では、豊泉が「多様性の壁にMeet Up!~働く女性への理解浸透~ 」に手を挙げた思いや「生理」のパートについてご紹介しました。後編では「不妊治療」や開催後の反響やその後の展開をお伝えします。
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社内でタブーに感じていた「生理」と「不妊治療」。女性特有の問題を敢えてオープンにする意味とは?―前編
「多様性の壁にMeet Up!~働く女性への理解浸透~ 」の後半は、実際に不妊治療中の従業員から具体的な治療の流れを説明してもらった。
「すごくリアルな話だったので、とても勉強になりましたし、改めて本当に大変な治療だと感じました。治療中は、急遽病院に行かなければならないこともあり、仕事を休むことを余儀なくされる日もあるそうです。お話ししてくれた女性は、職場の理解があるから治療を続けられているけれども、組織に迷惑をかけてしまっていると感じることも多いと言っていました。周りの理解が一層大事だと全員が実感し、より理解を深めたいと思うきっかけになりました。元々、セルフマネジメント※休暇が半日でも取得できるような労働組合側から 会社への働きかけもあり、Meet Up!後には実際に活用出来るようになりました。不妊治療をされている方が治療しやすい環境になったことは喜ばしいことです」
継続することで働きやすい環境になるといい
終了後は、参加者、視聴者からの反響も良く、「1回で終わってしまうのはもったいない」「継続することこそが文化醸成に繋がるのでは」という意見が寄せられ、少し形態を変えながら続編を行った。5ヵ月後に2回目(”MeetUp+”と称し、誰でも参加出来るスタイルで実施、社内の公式文書で募集をかけた)、その1ヵ月後に3回目も開催することが決定。2回目は、50人近くの応募があり、1回目の参加者の感想を聞いて興味を持ち、参加した人もいたという。3回目は本社経営職(一般企業でいう管理職)向けにセミナーを実施。この中で今回の話題も盛り込んだ。回を重ねるうちに、女性と男性の思い違いや、男性の生理に対する固定観念があることも明らかになってきた。
「女性は腹痛や腰痛、貧血がつらいと思う人が多い一方で、男性は、さらにイライラや倦怠感、頭痛など、もっとたくさんの不調があるものだと思っている人が多かった。女性よりも重く受け止めていることは興味深かったです。でも実は生理って、毎月同じ苦しみがあるわけじゃないですし、お腹が痛い日もあれば貧血の日もあるなど、日によっても違う。個人によって苦しみの大きさや頻度もさまざま。そのあたりが意外と理解されていないことが分かりました」
「多様性の壁にMeet Up!」を掲げていた豊泉。生理や不妊治療をテーマに取り上げたことは、女性としてのジェンダーだけでなく、個々の多様性にもフォーカスする結果となった。生理は誰でも常につらいわけではない。逆にいつもは大丈夫でも、急に重い症状が現れることもある。その変化を柔軟に受け止めてもらえる環境が職場にあること。そのためには男性側だけでなく、女性側の仕事への覚悟も必要だと豊泉は話す。
「職場で、生理や不妊治療で大変な時もあることを分かってもらう。それはあくまで仕事を一生懸命やりたいという背景があるからこそ成り立つと感じている。ただ、分かってほしいだけではなく、仕事に全力で向かいたいけれども突発的なことで難しい時もある、そのことを伝えたくても伝えられない状況があるのならば、理解を深めることが大切なのではと感じている。分かってもらうだけではなく、そこには仕事に対しての覚悟や想いも必要だと思います。そのためにも、今後もMeet Up!の企画は続けていきたいと思っています。Meet Up!で1回話したからといって、急に生理や不妊治療のことにオープンになれるというものではないので、もっと時間が必要だと思います。ただ、参加してくれた方々から少しずつ理解が深まり、互いに話せるようになってきているという成果は感じています。続けることでコミュニケーションの幅が広がり、生理や不妊治療のことまで話せるくらいの関係性をつくれるようになれば、リラックスした状態、より良い環境で仕事ができるようになるかもしれません。」
「私は会社が好きなのでこのような活動をすることでより良い職場になるといいなと思っています。今回は「生理」「不妊治療」と今までオープンに話したことのないテーマでしたが、お互いに感じていたこと、知らなかったこと、こうなったらいいことなどを本音で語り合うことが出来て、いかに知らないことが多く相互理解の大切さを感じました。そして、1度でもこのような機会があれば壁が低くなる、取り除くことが出来る、ということも実感しました。男性からするとセクハラになるのではないかと思う内容かもしれませんがヘルスケアプロフェショナルである私達だからこそ、より良い職場環境作りには欠かせないテーマだと感じています。もちろん、生理、不妊治療だけではなく、介護や体調不良など、各々抱えている悩みはとても多く、職場という観点からすると『お互いさま』の気持ちが大切。悩みを1人で抱えずお互いに話し合える関係作り、環境作りや「生理や不妊治療を理解する」ことは1つ壁を超えるヒントになるのかもしれない。」
「今回だけではなく、今後も継続してこのテーマに取り組み続けることが職場環境や会社の風土や文化の醸成には必要なことだと考えます。 そして、こういう問題にも真剣に取り組んでくれる会社にとても感謝しています」
多様な個性が輝くチームとなるために
協和キリンでは、多様な個性が輝くチームの力が、2030年のビジョン達成の原動力と捉え、2021年に「私たちのDE&I宣言」を策定している。その基盤となるのは、職場におけるダイバーシティ(Diversity/多様性)、エクイティ(Equity/公平性)、インクルージョン(Inclusion/包括性)の推進である。
今回豊泉が行ったMeet Up!活動についても支援を続けることで、従業員の健康増進による働きやすい環境づくりだけでなく、従業員同士で相互理解の対話が更に行われるような、多様な個性が輝き、力を発揮できる組織づくりに繋げていきたい。