社会との共有価値 【解説記事】【身近な例】SDGsの達成に向けて今日からできる取り組み
SDGs(エスディージーズ:持続可能な開発目標 )目標達成のために現在世界的な取り組みが進められている。
国内企業でも多くの活動が行われており、協和キリンでも、CSV経営をとおしてSDGsの目標達成に取り組んでいるところだ。
取組内容は、人権、職場づくり、環境、消費者課題など多岐にわたる。詳しい内容についてはこちらから
しかし、SDGs達成のためには、個人レベルでの活動も必要不可欠であるため、今回は誰もが取り組むことができる身近な例について紹介しよう。
持続可能な社会の実現には個人レベルの活動も重要
SDGsとはより良い世界を目指して、国連サミットで定められた17の目標のことである。
「世界の目標」という認識から、個人レベルでは参加することができないようなイメージを持つ人もいるだろう。
もちろんSDGs達成への取り組みは、政府や大企業も積極的に行っており、さまざまな成果を出しているが、活動の対象は大きな組織に限定したものではない。
SDGsで掲げられた課題は全人類のものであり、「誰ひとり取り残さない世界」のためには、個人レベルの活動も必要だ。
国や企業などの啓発活動をもとに、ひとりひとりが主体的に行動しながらサポートを行うことが重要で、身近な改善がSDGs達成へつながっていく。
ここからは、より具体的な個人レベルで取り組める活動例を紹介していくので、今後の生活にぜひ活かして欲しい。
【SDGs達成への取り組み】身近な例を17の目標別に紹介
SDGsの17の目標に対して、それぞれ行われている身近な取り組みを紹介する。
目標1.貧困をなくそう
貧困は食料や教育、住居、受けられる医療などに直結する重要な課題である。
国内でも、6人に1人は平均的な生活水準を下回る「相対的貧困」の状態にあるといわれているのだ。
すぐにでも取り組める活動として、まず支援団体や子ども食堂への寄付がある。
寄付により、身近な地域で困っている人たちを支援することができ、子どもたちに栄養ある食事を提供することができる。
また、国際支援のためにはフェアトレード商品を購入するのも良いだろう。
この商品は、不当な賃金などによって貧困に苦しむ途上国の生産者が、人間らしくより良い暮らしができることを目指して作られた。途上国などと適正な価格で取引されていることを証明したもので、購入することによって生産国を豊かにすることができる。
目標2.飢餓をゼロに
世界中の飢餓人口は8億を超える人たちが飢えに苦しんでいる。そのため、2030年までに飢餓ゼロの目標を達成させるために様々な活動が実施されている。
取り組めることは、食品ロスを減らすことだ。日本では年間に約643万トンもの食べられる食品を廃棄されていることは知っているだろうか。
飢餓の原因のひとつとして、生産された食糧が十分に行き届いていないことがあげられる。
しかし、世界では、毎年全人口が賄える食糧は生産されている。それにも関わらず、食糧難に陥る国が存在している。これは食品ロスが原因のひとつだろう。
この食品ロスを減らすためには、消費者側の対策も必要だ。食品は無駄にせず、食べきれる量を購入しよう。
また、食べきれない食品がある場合は「フードドライブ」へ寄付することを推奨する。寄付することで、食糧に困っている団体または施設に寄贈することが可能だ。
目標3.すべての人に健康と福祉を
日本は社会保険制度が整っており、世界の中でも充実した医療が受けられる国である。
今後も日本の充実した医療環境を保ちながら、医療費を抑えるためにも、健康に生活できる年齢、つまり「健康寿命」を伸ばす必要がある。
そのためには、日頃から徒歩や自転車による通勤・通学など、自分自身の健康に気をつけるところから始めると良いだろう。
さらに、近所のお年寄りの暮らしへも思いを至らせるなど、身近な人の健康に配慮する働きかけをすることも大切だ。
関連記事:SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」はどのような取り組みか
目標4.質の高い教育をみんなに
世界では、紛争や強制労働などによって小さな頃から学習する機会を奪われ、読み書きができないまま大人になる人は約7億8千万人にものぼる。
日本には義務教育があり問題ないと思われがちだが、不登校や金銭的問題で高校や大学に行けない人も少なくない。
友達が悩んでいることに気づいたら積極的に声をかけてみよう。相談に乗ることで問題の早期発見につながるかもしれない。
また、教育環境や福祉に関するイベントへ参加することで、興味や知識を持つことも大切だ。
関連記事:企業ナレッジを活用した“体験型コンテンツ” が育む知的好奇心【協和キリン×アシックスジャパン】
目標5.ジェンダー平等を実現しよう
男女の違いで社会的、文化的な役割に差があってはならない。
日本でも重要な課題とされているが、依然として男女で収入に差が大きくある。また、日本は女性の政治参加度の低さなどが起因して、世界のジェンダーギャップ指数ランキング(2020年版)は153か国中121位である。
この課題の改善のためには、育児や家事を男女関係なく分担してみる、ジェンダー平等についてSNSで発信するなど、興味関心を広げていく行動を起こすことが重要である。
目標6.安全な水とトイレを世界中に
世界の人口の約3分の1は、安全な水を利用できていないといわれている。
現在、日本では水道の蛇口をひねれば簡単に水が手に入るが、2025年には世界の3分の2が水不足になると予想されており、改めて水は有限な資源であることを考え直さなければならない。
すぐにでも取り組めることとして、節水、キッチンで油を流さない、風呂水の再利用などは、誰でも簡単にできることだ。
皆が水を大切にすることで、多くのムダをなくすことができるだろう。
関連記事:自然を愛するフィロソフィーを次世代に。「高崎工場」の環境保全への取り組み
目標7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに
現代人にとって、電気などのエネルギーは生活に不可欠である。
石油や天然ガスなどの化石燃料を利用して電力を得ることができるが、同時に多くの二酸化炭素が発生するため、地球温暖化の原因にもなっている。
太陽光発電の導入により温室効果ガスを軽減することもできるが、節電に気をつけるだけでもこの目標に貢献することができる。
目標8.働きがいも 経済成長も
近年ようやく働き方改革によって、少しずつ日本の労働環境は整いつつある。しかし「過労死」という言葉が生まれたように、企業や地域によっては整備が不十分な場合も多くある。
無理な働き方をしていては、働きがいが失われ、結果的に経済成長へ悪影響を与える。
残業を削減するよう心がけ、休暇も十分にとるようにしよう。
また、地元のものを購入する「地産地消」を意識することで、身近な経済成長に貢献できるだろう。
目標9.産業と技術革新の基礎をつくろう
産業や技術革新は、今後の生活を豊かにするためには欠かせない分野である。
企業でなければ対応できないように思われがちだが、ベンチャー企業への出資やサポート、インフラ整備について学ぶことで個人でも十分貢献できるのだ。
目標10.人や国の不平等をなくそう
国や人種だけではなく、人にはさまざまな違いがあるが、お互いを認め合い理解することで平等な関係を築くことができる。
ハンディキャップのある人の支援をすることや、いじめや差別をしないなど、個人レベルで意識して取り組めることが多い目標のひとつだろう。
目標11.住み続けられるまちづくりを
東日本大震災や平成28年熊本地震、台風による水害など、日本各地でさまざまな災害が起こっている。
誰もが安心して住み続けるためには、地域の防災活動への参加をしながら、まちづくりにも関心を持ち、関わりを持つことが大切だ。
防災グッズの購入、ハザードマップの確認など、いざというときに向けて準備をしておくことも重要である。
目標12.つくる責任 つかう責任
食品・衣料・エネルギーなど、我々は大量の資源を消費しながら生活している。
できる限り資源の無駄使いを減らすことで、つくる量とつかう量を適正に保つことができるだろう。
取り組みとしては、食品ロスやゴミを減らし、食品は食べきれる分だけ購入するようにしよう。マイバッグを使用することでも、プラスチックゴミの削減に貢献できる。
目標13.気候変動に具体的な対策を
二酸化炭素などの影響による地球温暖化は、さまざまな気候変動を招く原因となっている。
電気をこまめに消す、クールビズやウォームビズの推進、公共交通機関の利用などを意識して行うことで、エネルギー消費を抑えて温室効果ガスの削減につながるのだ。
関連記事:【気候変動に具体的な対策を】SDGs13の目標を徹底解説
目標14.海の豊かさを守ろう
プラスチックゴミによる海洋汚染や魚の乱獲などが、水産資源に多くの悪影響を与えている。
国内では買い物袋が有料化されるなどの対策が開始されているが、ほかのプラスチックゴミの削減やリサイクルを意識することでさらに状況を改善させることができるだろう。
また、環境への配慮が証明されている水産物である「サステナブルシーフード」を買うことでも、大切な海を守ことにつながるのだ。
関連記事:【SDGs14】プラスチックごみ問題と海洋生物の現状|取り組み事例3つ
目標15.陸の豊かさも守ろう
森林や多種多様な生物、そして人間が暮らす陸地も将来に残すべき大切な存在である。
現在は、森林伐採により多くの自然が失われている。この現状を改善するためにも、地域の植林活動へ参加することは重要な行動のひとつだ。
また、FSC認証マークの製品を買うことで適切な森林管理に貢献できる。書類のペーパーレス化によっても資源の節約ができるだろう。
目標16.平和と公正をすべての人に
世界では多くの紛争が発生し、現在も7千万人を超える難民が存在するといわれている。
国際的な問題が多いが、個人でも難民支援や子どもの保護活動の応援、国際紛争や貧困問題へ関心を持つことが大切だ。
目標17.パートナーシップで目標を達成しよう
最後の目標は、すべての人が協力してSDGsに取り組むことで達成できる。
現在少しずつ国内でもSDGsの認識は広がっているが、深く理解している人は多くないだろう。
世代交流や国際交流イベントに参加して、さまざまな人と触れ合い協力し合うことや、SDGsを広める意識と行動が大切である。
また、SDGs達成に取り組む企業の応援をすることも、個人ができる重要な行動である。
関連記事:希少・難治性疾患の課題にパートナーシップで取り組む① ステークホルダーをつなぐ中間組織ASridの挑戦
私たちの身近なところからできること
SDGs達成に向けて政府や企業も取り組みを行っているが、やはり個人レベルでの活動も必要である。一人ひとりが意識することが大きな成果につながるため、誰にでもできる具体的な取り組みを紹介しよう。
食品ロスを減らす
企業の製造工程や生産する過程で多くの食糧が廃棄されているが、実は食品ロスの半分近くは家庭から排出されている。
家庭内で食品ロスを減らすためには、使い切れる分の食材を購入する意識が大事だ。また、購入先のスーパーや飲食店で廃棄を出さないように心がけることも重要である。
例えば、すぐに使うものであれば賞味期限の早いものから取り、奥から商品を取らないようにしよう。外食の際は、食べ残しを減らすために食べ切れる分量のみを注文するように注意する。
最近では、飲食店で残った食事は持ち帰りできるところもあるため、もしも食べ切れなかったときには廃棄せず、後から食べるようにすると良いだろう。
以下の記事では、食品ロスについてより詳しく紹介している。
節電を心がける
日本の発電割合は約80%を火力発電が占めており、地球温暖化の原因となるCO2が多く排出されている。可能な限り節電を心がけることで、環境問題の改善や地球資源の持続につながる。
現在は省エネな商品も豊富なため、電球や家電を買い換える際は消費電力の少ないタイプを選ぶことで簡単に電気を節約できる。
さらに、使っていない電化製品などはコンセントを抜いたり、電気をこまめに消したりすることで節電効果も高められる。
水を無駄遣いしない
水は限りある資源であり、人が生きるためには絶対に欠かすことができない。大切な水を守るためにも、個々人が必要な量を大切に使うように心がける必要がある。
例えば、バスタブでの入浴は5〜10分のシャワーに比べて何十リットルもの水を使用するため、状況に応じて短時間のシャワーを利用することで節水につながる。
バスタブで入浴した際は、お湯を散水や洗濯に再利用するように心がけたい。お湯での洗濯は、湯温によって衣類の汚れが落ちやすくなるメリットも得られる。
食品や電気、水の節約は地球環境に良い影響を与えるだけでなく、毎月の支出を減らすことにもつながるため、積極的に取り組みたい。
この項目内で話題にあげた「節水」については以下の記事でも詳しく紹介している。ぜひ読んでほしい。
マイバッグやマイボトルを持参する
近年、海洋プラスチックゴミ削減の取り組みとして、買い物でのレジ袋が有料化されている。数円単位であることや利便性から、いまだに利用する方も多いだろう。
しかし、できる限りマイバックを持ち歩くようにして、レジ袋を断ることでもプラスチックゴミの削減に貢献できる。
また、コーヒーショップなどではマイボトルを持参することでも、カップなどのゴミを出さない取り組みにもなる。お店によっては、マイボトルの持ち込みで値引きしてもらえることもあり、環境的にも経済的にもメリットがあるだろう。
エシカル消費に挑戦する
エシカル消費とは、人や社会、環境、地域、動物福祉などに貢献する消費のあり方で、「倫理的消費」とも呼ばれている。
商品を選ぶ際の基準として「安心・安全」「品質」「価格」だけでなく「社会や環境への配慮」を重視することで、課題解決に取り組む事業者を応援することができる。
エコマークや認証ラベルのついた商品などを購入することがエシカル消費につながるだろう。また、エシカル消費の詳細は以下の記事でも解説している。
公共交通機関を利用する
地球温暖化には自動車から出る温室効果ガスも大きく関与している。そこで、通勤や通学などの移動に公共交通機関を利用することでもSDGsの達成に貢献ができる。
例えば、近場であれば徒歩や自転車での移動を心がけることで、環境だけではなく健康にも良い影響を与えるだろう。
マイカーはなるべく人数が集まり、必要性が高いときに使うことで、資源の節約や温暖化防止にも貢献できる。
ただし、生活環境や地域によって対応できる部分には差があるため、可能な限りで配慮する姿勢が大切だ。
まとめ
今回はSDGsの達成に向けて個人でも取り組める身近な例を紹介してきた。
どれも大きな問題ばかりだが、寄付や節約、健康づくり、差別をしないなど、誰にでもできる当たり前のような行動がSDGsの達成には重要だ。
目標17にもあるように、より良い世界を目指すためには、すべての人がパートナーとなり協力し合うことが不可欠なのである。
そのほか、個人でできる取り組みについてはこちらの記事でも紹介している。