People & Culture協和キリングループが取り組む健康経営「Wellness Action2025」とは?

Life-changingな価値を創造し、世界中の患者さんに笑顔を届けるためには、まず私たち従業員が心身ともに健康で活力に満ち、笑顔あふれる 毎日を過ごす必要があると協和キリンは考えています。イノベーション創出に向けた、健康で多様な人材が活躍できる組織づくりを紹介します。

企業における健康経営

2015年5月に発信した「協和キリングループ健康宣言」は、従業員の生涯を通じたQOL(生活の質)の向上を図るもの。各自が健康づくりに主体的に努力することだけでなく、医療に関わる企業として予防的視点からより高い次元の健康を目指しています。そのため、健康づくりの行動を促進する「動機付け」と、実践していくための「継続支援」を推進していくと宣言しました。

従業員とその周囲の人々が健康について自分ごととして行動変容(Wellness Action)していくように取り組みを続け、現在は「Wellness Action2025」と題した取り組みを行っています。「Wellness Action2025」では、従業員とその周囲の人々が心身の健康リスクを低減し、豊かな人生の実現ができることを目的としています。また社会に対して、医療費の増加や肥満、偏食といった社会課題へのアプローチなど、社外への好影響も図ります。そして会社に対しても、ひとり一人のパフォーマンス向上による企業価値の向上、課題や壁を乗り越えていく企業文化の醸成といった効果も狙います。

Wellness Action 2025進捗状況について

協和キリンでは、「Wellness Action2025」への取り組みにあたって、人事担当役員を健康管理推進の責任者とし、関係各所と連携を取りながら施策を実施しています。全社および事業場ごとの進捗状況をモニタリングし、経営層との課題共有会などの場を設けて、取り組みの評価や改善を行っています。

モニタリング内容としては、「健康関連の最終的な目標」、「従業員の意識変容・行動変容に関する指標」「健康投資施策の取組状況に関する指標」と、大きく3つのカテゴリに分かれており、目標の達成率やスコアを公開しています。

「健康関連の最終的な目標」では、健康診断やアンケート回答などから達成度を算出しています。例えば、健康リスクの指標となる適正体重維持者の割合は2023年で70.2%となっています。2022年は67.2%、2021年は66.9%であったため、適正体重保持者は増加傾向にあることがうかがえます。

「従業員の意識変容・行動変容に関する指標」においては、運動習慣や喫煙、飲酒に関するスコアや休暇をしっかりとれているかなどについて評価しています。中でも、開催しているウォーキングキャンペーンへの参加率は年々増加しており2023年には86.2%になっています。

「健康投資施策の取組状況に関する指標」については、健康診断や検診、ストレスチェックなどの受診・受検率などから評価を算出しています。産業医面談については、3年連続で100%を維持しており、健康診断も100%の受診を達成しています。

協和キリンでは、さまざまな項目の目標を設定し、よりよい健康経営を目指して改善・向上に取り組んでいます。

重点目標の一つである「食事」における取り組みについて

「Wellness Action2025」に関するさまざまな取り組みの中でも、食事に関する施策は重点目標のひとつになっています。食事は、たくさんの生活アクションの中でもとりわけ幸福感が高く、嗜好性が強く出る行動のため、行動変容が起こりにくい分野。過去の達成状況においても課題が残る状況にありました。

左写真:食事イメージ、右写真:「あすけん」アプリ画面イメージ

そこで、食事に関する健康経営へのアプローチをより高めていくため、「食活!『あすけん』チャレンジ2024」を実施することにしました。個のチャレンジは、AI食事管理アプリ『あすけん』を導入して、従業員の食事管理を支援するもの。2024年度に14日分(1日3食)の食事記録をする従業員を60%以上にすることを目指しています。

「食活!『あすけん』チャレンジ 2024」に取り組む従業員の反応

「あすけん」アプリ活用シーン
協和キリン卓球部のメンバー

協和キリン卓球部のメンバーも「食活!『あすけん』チャレンジ2024」に取り組んでいます。協和キリン卓球部は1974年に創設され、たくさんの選手を国際大会などに輩出してきました。世界大会の日本代表としても選出経験のある岩渕幸洋選手やアジア日本代表選考会にて優勝し日本代表となった監督兼選手の松平賢二選手などが在籍しています。

松平賢二選手
試合中の松平賢二選手

松平選手は、30代も半ばになり、競技を長く続けるためにも食事の改善が必要と考えるようになったそうです。もともと太りやすい体質で、運動をした日もしない日も1日3食をしっかりと食べ、食欲は変わらないと言います。試合が近くなると、約3週間前から体調管理を開始。食事制限をして体重コントロールをするそうですが、試合後にはその反動で食べ過ぎてしまい、2~3キロ増えてしまうことも。食事を楽しみつつ、体重を一定にキープすることはアスリートとしても大きな課題のひとつでした。

『あすけん』アプリを導入してからは、今まで感覚的に管理していた食事内容を、アプリがデータや数値でしっかりと表してくれるため、計画的な体重コントロールができるようになりました。また栄養素にも気を配るようになり、アプリを参考にしながら足りていない栄養素を意識的にとるようにもなりました。特に試合中は、普段の食事とは違って時間も不規則になるため、捕食による栄養補給もあります。そこもアプリで管理できるようになり、不足カロリーや栄養素を効率的に補給することで試合のパフォーマンスも向上しました。

最近は、朝食をパン食から玄米、生たまご、納豆、ヨーグルトに変えるなど、食事を工夫するようになったという松平選手。「朝食を変えてから、午前の練習中もお腹が空くことなく練習に集中できるようになりました」と、食事を見直すことで日々のコンディションの変化を実感しているそうです。

もちろん、アスリート従業員以外の従業員も、チャレンジに取り組んでいます。

営業本部広島支店下田祐希さんは、「あすけん」アプリを利用してダイエットを開始。目標としていた3カ月でマイナス5㎏を達成し、その体重をキープできています。「あすけん」アプリには運動記録機能もあるため、運動の意識も上がって、体を動かすことで寝付きも良くなり、朝の寝覚めもスッキリとして仕事の効率も上がったそうです。下田さんは「”運動した情報も記録する”、”完璧な入力を意識しない”ことで、継続できたのではないかと感じています。大切なのは正確かどうかではなく、継続すること。夜ご飯を食べた後に、その日の食事を記録して総カロリーを確認し、デザートを食べるか、我慢するのかを判断しています」と、継続のポイントを明かしました。

「あすけん」アプリを活用する下田さん

営業本部中国四国支店山近展敬さんは、支店の従業員がより積極的にチャレンジに取り組めるよう、「自分自身のベストな1日3食メニューを『あすけん』に登録(何回登録してもOK)」してもらい、その自己ベスト食事記録メニュー(栄養バランス)の表示やその点数を、支店全員が見ることのできる場所に投稿をしてもらって、みんなでそのベストメニューに共感の「いいね」を付けてもらうという企画を、期間を設けて実施しました。これにより、本人が食事の摂り方に対する気付きを得られるだけでなく、他従業員の食事メニューを見ることで、適正なカロリーや栄養素がどんなメニューなのかを意識するようになったと言います。山近さんは「『あすけん』は、アドバイスを参考にして行動変容のきっかけになる点がメリット。その機会をより多くの従業員に与えられるような取り組みがこのチャレンジだと考えています」と、このチャレンジが健康づくりのための大きな動機付けのひとつになっていると話しました。

下田さん(写真中央)に指導する山近さん(右)と同営業所の村田さん(左)

統括産業医で労働衛生コンサルタントの永田明久先生は、「食事に興味がない人にこそ使ってほしい」と話します。食事に配慮するためには、まずは自分の状況を把握しなければなりません。自分がどのような食事をとっているかをAI栄養士に指摘してもらうことで食生活を見直し、興味をもつきっかけにしてほしいとしています。そして、食事のバランスについても、単回食事のバランスではなく、全体としてのバランスを重視することを心掛けてほしいとのこと。時に食べ過ぎてしまうことがあっても、数日間の摂取カロリーで帳尻を合わせていくような工夫にもアプリは活用できます。

このような食事への取り組みによって従業員の健康が向上することは、従業員の活力が向上し、生産性が上がったり組織が活性化したりしていくことにつながります。食事を意識し、健康を意識する従業員を増やしていくことは、健康経営の目指すべき目標のひとつです。

【統括産業医・労働衛生コンサルタント】
永田 明久(ながた あきひさ)先生
野菜の摂取量を推定できる「ベジチェック」
推定野菜摂取量チェックイベントの様子

このほかにも、手のひらをセンサーに押し当てることで野菜の摂取量を推定できる「ベジチェック」を活用した推定野菜摂取量チェックのイベントや、社内セミナーなども開催しました。

健康経営の施策をリードする人事部多様性・健康・組織開発グループの瀬戸亜矢子さんは「毎日忙しい従業員にとって食事は幸福度が高いものである一方で、将来の健康リスク回避のためにはある程度コントロールするスキルも求められます。今年の目標は無関心層をいかに救い上げるかでしたが、数か月にわたる食活『あすけん』チャレンジにより全従業員の約半数がこのチャレンジに参加していただけるまでに成長してきました。家族や友人との楽しい食事も大切にしながら時々食生活を振り返ってみるきっかけとなれば幸いです」。と活動を振り返りました。

11月をもって2024年の食活!あすけんチャレンジ2024が終了し、その参加率は2023年の13.5%から50.9%へと大幅にアップ。約2,000人の従業員がこの施策に参加しました。協和キリングループは、「Wellness Action2025」のもと、さまざまな取り組みの中で健康宣言に関する目標の達成を目指していきます。

食活!『あすけん』チャレンジ2024 参加率推移

協和キリンの「People & Culture」についてもっと知る

トップへ戻る