社会との共有価値 【解説記事】SDGsと動物の保護|生物多様性の重要性と今日からできること

SDGsと動物の保護|生物多様性の重要性と今日からできること SDGsと動物の保護|生物多様性の重要性と今日からできること

持続可能な世界の実現のため、SDGs(エスディージーズ:持続可能な開発目標 )が世界各国で、そして日本においても意識されるようになってきた。

SDGsにはいくつかのゴールが設定されており、その中には動物の保護に関連するものもある。SDGsと動物にはどのような関係があるのか、取り組み事例も含めて紹介する。

SDGsの動物に関する開発目標

SDGs(エスディージーズ:持続可能な開発目標 )のゴールの中でも、とくに動物保護との関連が深いのが目標15だ。この項では、動物と目標15の関係性について解説する。

動物と目標15は密接につながる

SDGsの目標15「陸の豊かさも守ろう」が掲げられた背景には、「自然環境は生態系に関係しており、私たちが生活を送られるのも豊かな自然環境が育まれているからである」という考えが元にある。

そのため目標15では、土地の保全と回復のほか、絶滅危惧種の保全と絶滅防止の対策、生物の多様性を守る開発、森林減少の阻止などを具体的な目標として設定している。

目標15が世界的な目標として設定されたのは、以下のような経緯からだ。

第一に、多くの動物が絶滅の危機にさらされていること。推測されるだけでも、鳥類の14%、ほ乳類の25%、両生類の41%において絶滅の危機にある。

次に、土壌の砂漠化が進み、生態系に影響を与えていること。衰えた土地が砂漠化することによって種の絶滅も進んでしまう。

そして、生物の保護に取り組んでいる組織もある一方で、世界には法で禁止された密猟や密輸もいまだ存在していることだ。生態系の保護は世界的に取り組む必要があることから目標15では動物の保護や密猟防止などが具体的な目標のひとつに設定されている。

目標15「陸の豊かさも守ろう」の目的

目標15「陸の豊かさも守ろう」の達成は、自然と共生する世界の実現を目的としている。目標15の対象となるのは、森林や土壌など環境的な自然だけではない。動物や植物、微生物など、あらゆる生態系の保護が含まれている。

そして、「陸の豊かさも守ろう」で具体的な目標に設定され、動物と関連が深いのが、生物の多様性の保護だ。一つの種が絶滅してしまうと、ほかの種にも影響が波及してしまう。生物の多様性を守り共存していくことが目的のひとつに位置付けられている。

「生物多様性」の重要性

動物の保護に関連して、生物多様性にスポットを当てて、その重要性と企業の取り組み事例を見ていこう。

生物多様性の重要性

生物多様性とは、ただ生物が多様に存在していることをいうのではない。さまざまな生物が複雑に関わりあって、現在の地球環境を構築していることを意味する。

酸素の供給だったり、気温や湿度の調整だったり、豊かな土壌の形成だったり、水や栄養、塩の調整であったり、すべては生物多様性により実現できている環境だ。

そして、生物多様性には3つのレベルが存在する。その場所に適応した生態系が育む「生態系の多様性」、多様な種類の「種の多様性」、生物を特徴づける「遺伝子の多様性」だ。いずれの多様性も保護していかなければならないものと位置付けられている。

私たちは生物の多様性により、地球環境の恩恵だけでなく、豊かな暮らしも実現してきた。

ほかにも、ハスの葉の構造を利用した布の撥水加工、フクロウの羽の構造を用いた音を減らす集電装置など、生態系のしくみも間接的に私たちの暮らしに恩恵を与えている。画期的な技術革新や新商品の開発には、動物や植物の形態を参考にしたものも多い。

このように、複雑に絡み合った地球環境を守るため、豊かな生活を持続可能なものにするため、生物多様性を維持することは重要といえる。

生態系を守るための取り組み事例

生態系を守るために、国だけでなく、さまざまな企業が取り組みを実施している。企業の事例をいくつか見ていこう。

シャボン玉石けん株式会社

シャボン玉石けん株式会社では、保護団体などと協力して、生態系保全活動の一環として自然観察×ビーチクリーン活動を実施している。国際的な基準に従った調査や清掃により、ウミガメの産卵地をクリーンにする活動だ。

参加者は、清掃に取り組むだけでなく、漂着物を含めた浜辺の観察をとおして生態系に対する理解を深められるようになっている。

ソニーグループ株式会社

ソニーグループ株式会社はNGOと協働して、自然の感動を多くの人に伝え共有することで生物多様性の保全につなげる「わぉ!わぉ!生物多様性プロジェクト」を進めている。

カブトガニ保全活動、メダカの放流、自然観察イベント、生きものフォトなど、一般参加も含めさまざまな取り組みが行われた。

協和キリン株式会社

協和キリン株式会社では、生物多様性保全の取り組みとして、主に3つの取り組みを実施している。

そのひとつが、水源の森を守る活動だ。自治体などとも協力しながら、下草刈りや間伐作業を行い、水資源を守る活動を10年以上継続して実施している。

また、生物保護の観点から、河川の清掃活動に加え、あまごの稚魚の放流も実施。環境美化や自然環境保全の意識が高まるよう地域コミュニティの育成にも貢献している。

ほかにも、生物多様性と関係の深い、森林環境の保全にも注力。森林の環境に配慮し継続可能な形で生産されたことを示すFSC®認証紙を、社用封筒などに使用することで、森林の環境保全にも間接的に取り組んでいる。

  • FSC®(Forest Stewardship Council®森林管理協議会) 認証紙は、FSC®の基準に基づき、森林の環境に配慮し、社会的な利益にかない、経済的にも継続可能な形で生産された木材や、その他、リスクの低い管理された原材料が責任をもって調達されていると認証された紙のこと。協和キリンはFSC®プロモーションライセンスを取得しています(FSC®N003037)。

協和キリンが行っているCSV経営についてはこちら

生態系を守るために私たちができること

動物をはじめとした生態系を守るためには、生物多様性への理解を深めて、保全に向けた取り組みを行うことが重要である。さまざまな企業が、主体的に生態系保全の取り組みを実施していることを紹介してきた。

私たちができることのひとつに、生態系保全に積極的に取り組んでいる企業の応援がある。しかし、企業を応援することがすべてではない。最後に、生態系を守るため、私たち個人が取り組めることを紹介する。

地産地消

需要が偏ると、特定地域の生態系の維持が危うくなる危険性もある。生態系を守るには、地元で採れた旬のものを味わう、地産地消を意識すると良い。

自然を体験

生物多様性を守るには、個人が生態系についてよく理解しておくことが重要だ。外に出て生き物や自然と触れ合うのも良い機会になるだろう。自然を体験できる機会は大切に、できるだけ自分自身で経験すると良い。

自然の素晴らしさを発信する

自然の素晴らしさを実感したなら、多くの人に共有してもらえるよう、季節の移ろいや自然の美しさを、写真、絵、文章などでシェアしよう。さまざまな人の目に触れることで、ひとりでも多くの人が自然や生物多様性に関心を持つきっかけになる。

地域活動や全国の活動に参加

生きものと自然、そして人と文化のつながりをつくるため、地域活動や全国で開催されている活動に参加してみよう。活動に加わることでさまざまな刺激を受け、生態系などの理解を深めることができるだけでなく、同じ問題に関心を持つ人の輪も広がる。

生物多様性に関する法令を守る

生物多様性に関する法令にはさまざまなものがある。特例外来生物を飼育・栽培・輸出入しないこと、希少野生動植物指定の生物を捕獲・採取・殺傷しないなど、生物を守るための内容も多い。いずれも、生態系を守ることなどを目的に制定されているものだ。

知らなかったでは済まされないこともある。生物多様性を考えるなら、関連する法令に関心をもち、法令に従って行動することだ。そのためにも、関連する法律にはどのようなものがあるか、どのような規制を法令で設けているのかを知っておこう。

まとめ

SDGsに関連して、動物の保護や生態系の保全について紹介してきた。さまざまな企業が生物多様性を維持するため、さまざまな取り組みを行っている。どのような活動が行われているか、まずは関心を持つことが第一歩だ。

個人でも取り組めることはあるので、この記事で紹介した内容を参考に、できることから実行してみてはいかがだろうか。

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