社会との共有価値 【解説記事】【子ども向け】SDGsってなに?大人と子どもができること
街中やテレビなどで「SDGs」という言葉を見たり聞いたりすることが増えたと思わないだろうか?SDGs(エスディージーズ:持続可能な開発目標)について、大人から子どもまで一人ひとりがじっくりと考えてみてほしい。
今回はSDGsとはなにか、SDGsの目標達成に向けて分かりやすく紹介していく。
【子ども向け】SDGsってなに?
世界には、貧困や紛争(ふんそう)、感染症(かんせんしょう)など、さまざまな問題が残っている。これらを解決できないと、全世界の人々は安心して生活ができなくなるだろう。
つまりSDGsは、「みんなが安心して、地球で暮らし続けられるための目標のこと」。ここでは、わかりやすく解説していく。
目標1「貧困をなくそう」
目標1「貧困をなくそう」は、貧困につながる課題を解決するための目標のこと。
世界では、8億人以上もの人々が1日1ドル25セント未満(約140円)で生活しており、お家やごはんが手に入らない状態といわれている。また、学校に行けない子どもは勉強することができず、大人になっても貧困の人も多い。
みんなが安心できる生活を得るためには、貧困からぬけ出すことが必要だ。そのためにいろいろなルールや仕組みが考えられている。
目標2「飢餓(きが)をゼロに」
目標2「飢餓をゼロに」は、食料問題を解決するための目標のこと。
※飢餓とは、世界の人々が、お腹いっぱいにご飯を食べられずに苦しんでいる状態のこと。
世界の人々を助けるには、食料支援(しょくりょうしえん)だけでなく、支援に頼ることなく食料を安定して確保できるようにすることだ。
目標2を達成するためには、田んぼや畑を整えて、農業が永続的に続けられる環境(かんきょう)を目指す取り組みが必要だ。
目標3「すべての人に健康と福祉(ふくし)を」
目標3「すべての人に健康と福祉を」は、感染症の予防や医療格差(いりょうかくさ)の改善のために立てられた目標のこと。
世界では、はしかや結核(けっかく)などの予防できる病気で命を落とす子どもや、妊娠(にんしん)や出産で亡くなる女性が多くいる。これらの死は医療を受けられる場所や予防接種の促進、教育によって止めることができるだろう。
感染症の予防や医療格差を改善することは、安定した生活が手に入り、その地域の人々が豊かに暮らせるようになることにもつながる。
目標4「質の高い教育をみんなに」
目標4「質の高い教育をみんなに」は、すべての人たちが教育を受けられるように、また、生涯(しょうがい)にわたって学習できる機会を得られるようにするための目標のこと。
世界には、学校に通うことができず読み書きや計算ができない人たちがたくさんいる。人々が質の高い教育を受けることは、安定した仕事につき、豊かな生活を送るために必要なことだ。
目標5「ジェンダー平等を実現しよう」
目標5「ジェンダー平等を実現しよう」は、男女の格差についての課題解決に向けた目標のこと。
男の人、女の人というだけで賃金に格差があったり、家事や育児、介護負担(かいごふたん)の不平等があったりなど、ジェンダーについての問題は先進国にもいまだに多くある。
目標5の実現に向け、女の人が教育を受けたり働ける場所を増やしたりすることに加え、女性リーダーをすすめるなどが求められている。
目標6「安全な水とトイレを世界中に」
目標6「安全な水とトイレを世界中に」は、感染症対策や安定的な農業活動に欠かせない重要な目標のこと。日本では当たり前に水を飲むことができるが、世界では約22億人が安全に管理された飲料水を利用できていない。
水不足の対策として、河川や森林の整備、安全に水が利用できる整備も必要とされている。
目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」
目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」は、電力などの安定したエネルギー供給に向けた目標だ。
便利な生活に欠かせない電力。しかし、エネルギーは安定的に使い続けることはできなかったり、環境に悪影響(あくえいきょう)をあたえる温室効果ガスが増えたりしてしまう。そこで、電力を安定してみんなに届けるために、限りある石油資源の使用量を減らし、温室効果ガスを少なくすることが必要だ。
また、太陽光、風力、地熱などのクリーンなエネルギー源の活用を推進することも重要といわれている。
目標8「働きがいも経済成長も」
目標8「働きがいも経済成長も」は、強制労働や奴隷取引(どれいとりひき)、人身売買の完全消滅(かんぜんしょうめつ)を目指し、だれもが働きがいのある人間らしい仕事をおこなえるようにするための目標のこと。
日本でも、長時間労働の削減や男性の育児休暇(いくじきゅうか)の取得を積極的にすすめるなど、はたらく時間や自由な時間、家族との時間、どれも大事にできる社会になるようにルール作りが進められている。
目標9「産業と技術革新の基盤(きばん)をつくろう」
目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」は、インフラの整備を進めて産業活動を促進するための目標のこと。インフラとは、人間が生活するうえで必要なベースとなるもの。たとえば、電気やガス。他には道路やインターネットもインフラといわれている。
とくにインターネットなどの通信環境の整備は、グローバル化社会の実現やスムーズかつ平等な情報源へのアクセスを可能にするうえでも欠かせない。グローバル化社会とは、いろいろな国で暮らしている人たちが交流しながら仕事をすること。また、道路の確保や大量の荷物を配達するための技術を改めることも重要だ。
目標10「人や国の不平等をなくそう」
目標10「人や国の不平等をなくそう」は、国内や他の国との間で貧富の格差を改善する目標のこと。
世界の資産の40%近くは、富裕層の上位約10%が持っているといわれている。富の集中は貧富の格差をさらに広げる要因のひとつ。
そのため、富裕層にのみ有利となる金融(きんゆう)システムの改善に取り組む国や地域も増えている。
目標11「住み続けられるまちづくりを」
目標11「住み続けられるまちづくり」は、人々が安心して生活できる住居を確保し、安定した生活のために必要な目標のこと。
現在、仕事を求めて都市へ集まる人に対して住む場所が足りないという問題が起きている。問題解決のために、都市部でもより多くの人が安全でかつ長く住める住宅が整備されるように進められている。
目標12「つくる責任つかう責任」
目標12「つくる責任つかう責任」は、消費と生産活動を整える目標のこと。
食べられる食料を捨ててしまうと、それを作るために使った資源までムダになってしまう。また、廃棄物(はいきぶつ)を燃やしたり埋めたりして処理するためにもエネルギーが必要となる。私たちが毎日、商品を「買う」「使う」「捨てる」ことが地球環境にも影響を与えている。
目標12達成のためにも、会社企業も環境への影響を減らすような工夫を続けている。
目標13「気候変動に具体的な対策を」
目標13「気候変動に具体的な対策を」は、気候変動から地球を守るための目標だ。
地球温暖化は、気温上昇(きおんじょうしょう)による農業生産の減少や豪雨による洪水など、災害が起きる可能性が高まるほか、海水が上昇することによって国土が水没(すいぼつ)するなどの深刻な課題となっている。また、災害が発生したときの損失は数えきれない金額になるといわれている。
気候変動の影響を受けやすい地域の対策を強化することや、開発途上国(かいはつとじょうこく)への災害対策に向けた支援が必要だ。
目標14「海の豊かさを守ろう」
目標14「海の豊かさを守ろう」は、海洋資源を守るための目標だ。
気候変動による海水温の上昇や海洋プラスチックごみをはじめとする廃棄物による生態系への影響をおさえることが課題とされている。
目標15「陸の豊かさを守ろう」
目標15「陸の豊かさを守ろう」は、海の豊かさと同様に陸の生態系や資源を守るための目標だ。
たとえば、森林伐採(しんりんばっさい)は陸の生態系をこわす要因になるだけでなく、干ばつや砂漠化など人が住む場所も破壊(はかい)することにつながる。
土壌汚染(どじょうおせん)や生態系が壊れることは、食料問題にもつながる。このことから森林保全などへの取り組みが急がれている。
目標16「平和と公正をすべての人に」
安心して、豊かに暮らすためには、紛争がなく治安の良い世の中を維持(いじ)することが欠かせない。
目標16では「平和と公正をすべての人に」を目標に、紛争や情勢不安の解消を実現するため世界全体で取り組むべきとしている。また、ターゲットには子どもに対する暴力や虐待(ぎゃくたい)をなくすことも含まれている。
たとえば、ユニセフ(国際連合児童基金)によると、世界のどこかで、5分に1人、子どもが暴力によって亡くなっている。
世界中のすべての子どもたちが平和で安全に暮らせる、差別のない公平な社会づくりを目指している。
目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」
目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」は、 SDGs全体の達成を目指すために、世界中のあらゆる人たちがより強い協力関係を結び、現状を動かしていこうとする目標です。
開発途上国への支援を含め、先進国だけでなく世界全体ですべての人に持続可能な目標の達成に向けて取り組みを進めるために必要な目標のことだ。
SDGs達成のために大人と子どもの両方ができること
SDGs達成には、17の目標だけでなく、すべての人がひとつになって取り組む必要がある。国や自治体、会社の取り組みはもちろん、私たちが身近な生活の中で協力できる取り組みも多い。
ここからは、SDGs達成のためにみんなで一緒にできる取り組みについて紹介する。
水や電気の使いすぎをやめる
水や電気の使いすぎをやめることは、SDGs達成に向けて私たちが協力できる取り組みのひとつだ。
- おふろに入るときはシャワーを出しっぱなしにしない
- テレビゲームやパソコンを使わないときは電源を切る
- 使用しない部屋の電気は小まめに消す
- エアコンの温度設定を下げすぎ(上げすぎ)ないようにする
など、ふだんの生活の中でできる取り組みは多くある。水や電気などエネルギーの使いすぎを防ぐことは、温室効果ガスの削減にもつながるだろう。
食べ残しを減らす
食べ残しを減らし、好ききらいをせずに食べることは、食品廃棄の削減に協力できる取り組みだ。食べきれる量だけをつくる、食べきれないものは早めに冷凍(れいとう)するなど、傷む前に食べきるように心がけることも良いだろう。
また、スーパーに行くときは、すぐに食べるものは賞味期限や消費期限が近いものを買うことで、お店で発生する食品廃棄を減らすことができる。
認証マークがついた商品を見つける
家庭で使用するさまざまなものを買うときに、認証マークがついた商品を選ぶことも支援につながる。
決められた基準を守る開発途上国の生産者から仕入れている「国際フェアトレード認証」、化学物質を使用せずに生産した食べ物である「有機JASマーク」などがその一例だ。
このような認証マークがある商品を買うことで、SDGs達成へ向けた商品をつくったり販売したりしている企業を応援・支持することができる。
使わないものは捨てずに寄付する
必要なくなったおもちゃや本、服などを捨てずに寄付することも、廃棄物の削減につながる身近な取り組みだ。
では、どのようにすれば必要としている人に届けることができるだろう?地元の慈善団体(じぜんだんたい)が公開している情報から「なにを受け入れているのか」知ることもできるので、まずは調べてみよう。受け入れ態勢が整っていないところへ無理に送ることは避けるべきだ。
不要なものはすぐに捨てるのではなく、寄付をつのっているものがあれば選んで送る、そんな経験を続けていくと、廃棄物の削減が習慣になってくる。
いじめや差別を「見て見ぬふり」しない
平和で平等な社会であるためには、他の人を尊重することが重要だ。
いじめや差別は、宗教の自由、思想の自由、ジェンダー、出身地など、人権や尊重をおびやかすものでもある。これらを見かけたら、大人に相談するなどして「見て見ないふり」をしないことが大切だ。
まとめ
SDGs達成に向けた取り組みをおこなうには、まず「身近で起きていること」に興味を持ってみることが重要だ。
食品ロスの問題や最近起きた災害、住んでいる地域でのごみ問題やリサイクルの取り組み、「男の子は青、女の子はピンクが好き」のような考え方など、身近にどのような問題があるのかを知り、自分たちにできることを考えてみよう。