人材ポートフォリオ

方針・戦略

協和キリングループでは経営理念とビジョンの実現、新しい価値を創造し続ける人・組織づくりの強化に向けて「協和キリングループ人材マネジメント基本方針」を定め、その中で「人材はイノベーションの源泉」と位置づけています。また、価値創造ストーリーにおいては、「協和キリンのビジョン・価値観に共感する従業員」「多様性の輝くチーム力」「ビジョン達成のため壁を乗り越える企業文化(KABEGOE)」を重要視していることを明確に謳っています。従業員一人ひとりの能力と挑戦を結集し、Life-changingな価値に繋がる「価値創造活動」を推進することが、ビジョンの実現につながると考え、個々の人材の能力を最大限引き出し、挑戦できる機会を提供することに注力しています。研究、開発、製造、販売の各バリューチェーンにおいて、「患者さんの笑顔のため」という使命感と責任感、高い専門性を持って変革に挑み続け、やりきる人材の輩出を目指し、健康で多様な人材が活躍できる職場環境整備や組織風土、企業文化の醸成など社内環境を整備しています。

協和キリングループ 人材マネジメント基本方針

協和キリングループ(以下、「当社グループ」という)は、経営理念を実現するために、価値観と行動規範に基づき、高い倫理観をもって行動し、社会から信頼される企業グループを目指しています。
健康・医療に対するニーズ・技術が多様化する一方、医療経済の問題がグローバルな課題となるなど当社グループの事業を取り巻く環境変化は激しさを増しています。そうした環境変化のなかで、新しい価値を創造し、事業のグローバル展開を進めるなど、事業モデルの転換スピードを速めていくためには、リーダーシップを発揮し、自律的に変革に挑む社員の確保・育成が不可欠と認識しています。また、多様な背景を持つ個々の能力を活かし、新たな価値を生み出す共創の場を提供することが必要と考えています。
以上の背景を踏まえて、当社グループにおける社員と会社の関係および社員の能力開発に対するグループ共通の考え方を明確に示し、変革に挑み新しい価値を創造し続ける人・組織づくりを強化するため、以下の方針を定めます。

  1. 当社グループは、人材をイノベーションの源泉ととらえ、当社グループ社員一人ひとりの能力を最大限引き出し、変革に挑み新しい価値を創造し続ける人と組織をつくることを目指します。
  2. 当社グループは、当社グループ社員の個を活かし、共創を促します。
    • 当社グループは、自由闊達な風土をつくります。
    • 当社グループは、挑戦と成長の機会を提供します。
  3. 当社グループ社員は、自律し、当社グループの成長に資する変革に挑みます。
    • 当社グループ社員は、自ら考え、対話し、行動します。
    • 当社グループ社員は、自己成長と組織貢献を追求します。
  4. 当社グループは、当社グループが事業活動する国における労働関係法令・ガイドライン・業界ルールを遵守し、労務管理を行います。
  5. 当社グループは、上記1~4の実現のため、当社グループ各社において、適切な組織体制および業務プロセスを構築し、運用します。

以上

価値創造に貢献する人材づくりと、経営戦略を推進する人事戦略

ガバナンス

グローバルタレントマネジメント体制の整備と推進

One Kyowa Kirin体制をサステナブルに発展させていくため、各地域や機能部門の将来を担う次世代リーダー候補を発掘し、育成、抜擢する仕組みを推進しています。2021年から始まった現在の中期経営計画では、グローバルタレントマネジメントを戦略的に進めるべく人事部門の2025年のありたい姿として「Global Talent Management Basics for 2021-2025」を定め、グローバル共通の人事基盤整備としてグローバルキーポジションとその人材要件の特定、グローバル共通のグレーディングの整備、リーダーシッププリンシプルの策定、グローバル人事システム(HRIS)の導入等に取組んできました。これらは、採用、育成、評価、異動配置・登用などのタレントマネジメントにおいて重要な役割を果たします。グローバルでリアルタイムに人事データを共有し、データに基づいたタレントマネジメントを推進し、適所適材の人材配置を実現することで、持続的にグローバルリーダーを育成していくことを目指しています。また、具体的な人材パイプラインの強化策として、サクセッサーごとの個別の育成計画(グローバルサクセッションプラン)の策定、次世代リーダー候補の可視化や個別育成計画、グローバルでの短期派遣による人材育成プログラム (グローバルエクスチェンジプログラム)などに取組んでいます。各ファンクションやリージョン人材戦略との連携を図りながら、グローバルHRビジネスパートナー体制を構築しており、これにより人材戦略を統合し効果的に活用することができるようにしています。

Global Talent Management Basics for 2021-2025/協和キリングループの理念、ビジョン、価値観、ビジネス戦略に沿った人事施策を展開する。/多様な背景を持つ人材を採用し、疾患に苦しむ患者さんの笑顔のために、更なるイノベーションを生み出して価値の創出に貢献する人材を育成することでビジョンを実現する。/持続可能な成長のために、多様な人材がその個性や能力を最大限に発揮し、自律的に挑戦して壁を乗り越える新しい企業文化を作り上げる。/競争力のある処遇、健康経営の推進、エンゲージメントの高まる機会や場を提供することで従業員がワクワクして働く環境を構築する。/グローバルデータベースの構築および適切なアプリケーションの導入により、タレントマネジメントの実行や生産性向上を支援するデータドリブンHRを実現する。
社員の成長(個人の能力の最大化、キャリアの実現)Life-changingな価値の継続創出(会社の成長、J-GSPへの飛躍、次世代リーダーの継続的創出)。グローバル人材パイプラインの強化、処遇・機会提供、採用(①キーポジションと人材要件を特定)、配置(②後継者計画の策定)、育成(③次世代リーダー候補者の特定)、代謝(④個別育成計画と配置)、ポジション・グローバルグレーディング・リーダーシッププリンシプル、グローバル人事システム(HRIS)、DE&I宣言・企業文化改革・ハイブリッドワーキングモデル
グローバルタレントマネジメント体制の整備と推進
協和キリンリーダーシッププリンシプル
リーダーシッププリンシプル
  1. ※1関連データ:ESG従業員データ p7 「社会」pdfが開きます

指標および目標

エンゲージメント調査「Global Engagement And Motivation Survey (GEMS)」

協和キリンでは、従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出す重要な指標として、毎年エンゲージメント調査 (Global Engagement And Motivation Survey) を実施し、組織改善課題の把握や組織活性化に向けての施策検討に活用しています。本調査では社員が能力を最大限に発揮するための重要な要素として、会社へのコミットメントの度合い、仕事における自発的な取り組み意欲を示す「社員エンゲージメント」と、適材適所の実現や、最大限に能力を発揮するための働きやすさを示す「社員を活かす環境」に着目しており、また、多様性を強みにできる組織を目指すべく2020年から「ダイバーシティ&インクルージョン」も指標に追加しています。
2023年の調査結果では、「社員エンゲージメント」が前年と同水準、「社員を活かす環境」が+1ポイント、「ダイバーシティ&インクルージョン」が+1ポイント改善しました※1
この調査結果を受けて、各組織において改善案を立案、アクションプランに反映し、課題解決に向けたPDCAサイクルを着実に回していきます。

※1調査対象者数・回答率
対象者数:6,062名 回答者数:5,840名 回答率:96%
設問カテゴリー
社員エンゲージメント/戦略・方向性/リーダーシップ/品質・顧客志向/個人の尊重/成長の機会/報酬・福利厚生/社員を活かす環境/業績管理/権限・裁量/リソース/教育・研修/協力体制/業務プロセス・組織体制/ダイバーシティ&インクルージョン /経営理念・価値観 /行動規範・コンプライアンス/期待される働き方/会社のクオリティーカルチャー/KABEGOE
ベンチマークデータ
グローバル平均、好業績企業平均、製薬平均、Region別平均、地域・国別平均
社員エンゲージメント (2021年68%,2022年70%,2023年70%) Employee Enablement (2021年64%,2022年68%,2023年69%) Diversity&Inclusion (2021年75%,2022年78%,2023年79%)
Global Engagement and Motivation Survey (GEMS)
  • 最新の組織構造に過去の組織を紐づけ、過去の結果も再計算している

具体的な取り組み

人材育成とキャリア開発

協和キリングループでは、One Kyowa Kirin体制の中でリーダーシップを発揮し、イノベーションを生み出す人材育成を目指しています。人材育成において、業務を通じた成長機会の提供のみならず、職位や目的に合わせたきめ細かい人材育成プログラムを整備しています。
日本リージョンにおいては、2023年4月にグローバルグレードに準拠したジョブ型の等級・報酬制度を導入しました。One Kyowa Kirin体制下での適所適材の人材マネジメントを実現することに加え、キャリアに対してオーナーシップを持つことの重要性を従業員に示しました。全経営職のポジションについてジョブディスクリプションを作成して全従業員に公開しています。さらに、社内公募の募集ポジション数や募集頻度を増やし、一人ひとりが協和キリングループの中で実現したいキャリアを自らが見つけ、会社はその実現に向け努力することを支援していく、そうしたお互いの成長にコミットした対等な関係に基づいて各種関連施策を企画実行していきます。

各種関連施策

  • キャリア施策(マイキャリアシリーズ、メンバーを持つ経営職のためのキャリア支援研修、キャリア個別相談)
  • 自己啓発支援(チャレンジ支援制度)
  • 社内公募、社内副業
  • マネジメント強化研修(経営職の自己変革トレーニング、初めてメンバーをもつ経営職のためのトレーニング)
  • 新入社員育成(新入社員研修、3年育成施策)
  • 海外短期派遣プログラム(Global Exchange Program)
  • 次世代経営人材育成研修
  • キリングループ選抜研修

キャリア施策については、従業員全員が常にキャリアオーナーシップを持ち、キャリアを描くことが重要と考えます。そのためにも、キャリアのスタート時からキャリアへの主体性と変革に挑む意識を持つことが重要であると考え、マイキャリアシリーズ(My Career Prologue session、Starting session、Leaping session)では、内定時からキャリアを考えるきっかけを提供し始め、入社後も継続して学びや気づきの機会を提供し続けています。メンバーをもつ経営職向けには、メンバーのキャリア自律支援について学ぶキャリア支援研修をスタートしました。さらに、従業員がいつでも専門家であるキャリアカウンセラーに相談できる「キャリア個別相談」も開始しました。
従業員は、キャリア研修・上司とのキャリア面談・キャリア個別相談等で、自身のWill・Can・Mustを整理したうえで、必要な学びをしたいと考えた際には、自己啓発における学びを支援する「チャレンジ支援制度」も活用することが可能です。チャレンジ支援制度は、2023年に、現時点の職務に必要な学びだけでなく、協和キリンでの将来に向けての学びへのチャレンジも会社が支援する内容に制度を拡大しました。
マネジメント強化については、2023年の経営職人事制度改定との相乗効果を狙い、「経営職の自己変革トレーニング」や「初めてメンバーをもつ経営職のためのトレーニング」もスタートしました。
新入社員育成については、新入社員の成長を加速させる目的で、入社3年目まで新入社員の上司やOJT指導者、配属先の先輩社員たちが一丸となって新入社員の育成を伴走していく「3年育成施策」をスタートさせました。新入社員と関わる社員が3年後のありたい姿を共有しすすめていきます。上司のキックオフ会での情報共有やOJT指導者への教育も実施し、会社全体に育成の文化を醸成していくことも期待し、展開しています。
次世代経営人材の育成については、将来を担う若手リーダーを選抜し、次世代経営人材育成研修と長期に亘るOJT・OFF-JTを通じて育成を行っています。OFF-JTでは、約半年間に亘り、アウトプット中心の教育を通じて、事業戦略をグローバルレベルで立案・実行できる知識やスキルを付与しています。ここで育成した人材を貴重な経営者候補と捉え、研修終了後にはポジションのアサインも積極的に行い、事業経験等のOJTを通じ、継続した育成を実施します。今後、当活動をグローバルでの次世代経営人材育成プログラムと連携させ、One Kyowa Kirin全体を率いるグローバルリーダーを計画的に育成していく予定です。
またグローバルの各拠点においてさまざまな従業員の能力開発、キャリア開発を目的とした学習プログラムを展開しています。EMEAでは、「学習する文化」の醸成に注力しており、Learning @Work Weekを実施、さまざまなイベントの開催を通じて生涯学習の重要性を強調するとともに、従業員が社内の学習機会やリソースについて理解を深める機会を提供しました。北米では、キャリアや業務に直結した学習内容を必要な時によりフレキシブルに提供できるよう、オンデマンドコンテンツやモバイルアプリ等を積極的に取り入れ、ユーザビリティを向上させました。APACにおいてはキャリア開発の枠組みとプログラム展開に向けて各事業リーダーとの議論を開始。さらに 2023年はICT、Quality 、Finance、Culture、Patient Centricity など、多岐にわたる我々のビジネスに必要な知識をAPACRegion全体で共通で学ぶ「Learning@work week」を開催しました。

2023年度人事部主催研修実施状況
名称 参加人数 合計時間(h)
階層別必修研修 階層別研修(一般職) 721 12159:30
階層別研修(経営職)
※マネジメント強化研修含む
1305 5515:10
次世代人材育成 次世代人材育成研修 23 1081:00
女性育成研修 キリングループ研修 3 147:00
キャリア入社 キャリア入社者研修 302 1726:40
キャリア研修 キャリアデザイン_キャリア支援力向上研修 86 516:00
キャリア個別相談 7 49:00
自己啓発 チャレンジ支援制度 386 -
合計 2833 21194:20

2023年度の当社の年間受講者一人あたりの研修時間と、従業員一人あたりの研修時間は以下のとおりです。(人事部主催の全体共通教育のみ。部門ごとに実施している職種別の専門人材教育は除く。いずれも自己啓発に関する時間を除く。)

  • 年間受講者一人あたりの研修時間:8.4時間
  • 従業員一人あたり研修時間:5.2時間

また、研究開発に携わる人材のサイエンスレベル向上や、社外での活躍機会の提供などを目的に、大学等の教育機関にて教育研修プログラムへの参画等の取り組みを実施しています。

協和キリン人材育成体系、階層別研修、選抜型研修、応募型研修/自己啓発支援
人材育成体系

評価制度

協和キリンは、従業員の育成・成長と、その発揮による業績向上を目的とした評価制度を取り入れています。評価制度は、業績を中心とした運用を行っており、従業員一人ひとりに期待する役割や行動レベルを等級定義やジョブディスクリプション、リーダーシッププリンシプルを通じて示し、業績目標の達成に向けたプロセスの中でそれらの発揮度を測り、また、能力伸長の機会となるよう、中長期的な人材育成(キャリア開発)といった観点も持った一体的なシステムとして運用しています。
評価にあたっては、目標の設定から評価の実施・フィードバックの一連のプロセスを確実に実施するために、年に2回上司とメンバーの個別面談を設けています。期初の面談では、目標の設定やキャリアの展望について、上司とメンバー間で対話し、認識を擦り合わせます。期末の面談では、目標に対する実績やプロセスを振り返り、上司と評価を実施します。これら以外は、期中に1on1コミュニケーションを時期や頻度を定めず行っており、日常の業務相談、キャリア開発、目標の進捗や軌道修正など上長―メンバーで自由にテーマ設定し、積極的に対話を行っています。また、評価の納得性と公正性の向上に向けた取り組みとして、評価者研修を実施しています。

社員との対話

協和キリンは、労働組合との間でユニオン・ショップ制の採用を合意し、各自の人間性を尊重し、働きやすい職場環境の維持、組織風土の醸成の実現に向け、パートナーシップの考えのもと、お互いの立場を尊重し、建設的な議論を重ねています。また、国内グループ各社においても、労使協議を通じて、健全な労使関係の構築・維持に努めています。

業績連動型の報酬体系

協和キリンでは、会社業績を反映して賞与水準を決定する、業績連動型の報酬体系を採用しています。また、個人ごとの賞与額については、組織業績に対する貢献度合いを反映することとしています。会社業績や個人の貢献度を一定の範囲内で報酬に反映することで、業績向上に向けた一人ひとりの意欲喚起につなげています。

学位取得支援の取り組み

協和キリンは、研究開発型ライフサイエンス企業として、主に研究開発分野における社員のキャリアパスに資する学位取得を支援しています。支援対象者に対しては、学位取得に係る費用を会社が負担します。

ハイブリッドワーキングモデル

協和キリンでは、Life-changingな価値創造に向けて全従業員がその能力を最大限発揮するため、従業員一人ひとりが主体となって、機能ごと、リージョンごと、組織ごとに最適な働き方を考える「ハイブリッドワーキングモデル」を提唱しています。

【協和キリン ハイブリッドワーキングモデル3つの基本方針】
  • Nothing that costs our well-being is worth it(ウェルビーイングを第一の判断基準に)
  • Flexibility within a framework(価値創造に向けた枠組みの中で柔軟に)
  • Employees are the architects of the new Model(意思をもって自分たちの働き方をつくる)
ハイブリッドワーキングモデル
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