保護者へのアドバイス│かゆみナビ

【監修】東京医科大学名誉教授坪井良治先生／
東京医科大学皮膚科学分野教授大久保ゆかり先生

保護者へのアドバイス[アトピー性皮膚炎編]

【監修】東京医科大学名誉教授坪井良治先生／
東京医科大学皮膚科学分野教授大久保ゆかり先生

子どもの皮膚疾患の中でも、特に保護者の方が悩まされるのがアトピー性皮膚炎ではないでしょうか。ここでは、アトピー性皮膚炎の子どもを持つ保護者の方へ向けたアドバイスをご紹介します。

掻かない、掻かせないためのポイント

かゆみを伴うアトピー性皮膚炎。
しかし、掻いてしまうと症状は悪化してしまいます。ついつい"掻いちゃダメ！"と厳しく注意してしまいますが、逆に"掻かなかったときに褒めてあげる"ことが効果的なようです。
子どもは注意されることがストレスとなり、余計掻きむしってしまいます。また、わざと親御さんやまわりの方の注意を引くために掻き行動を起す子どもも多いようです。
従って、"注意する・叱る"ではなく"褒める"工夫をしてみてください。
また、引っ掻き行動がひどい場合はもちろんのこと、軽い場合でも抗ヒスタミン薬（内服薬）によるかゆみ治療はとても効果的です。
お医者さんの指示に従って、継続して子どもに飲ませてください。
その他、やや冷ためのシャワーを浴びたり、保冷剤をタオルで巻いて患部にあてて冷やすと、かゆみが軽減します。

子どもでも飲みやすい薬を処方してもらおう

かゆみ治療のために内服薬を使用しますが、子どもは薬を嫌がる場合があります。
医療機関を受診することで、子どもが飲みやすい剤型の薬を処方してもらうことができます。

・比較的、子どもに適した剤型例

飲みやすい甘みのついた粉薬

嫌な味の薬だと、子どもは飲んでくれない場合があります。子どもでも飲みやすいように甘みのついた薬もありますのでお医者さんと相談してみましょう。
また、粉薬が口の中で散らばり、子どもがどうしても飲み込むことができない場合は、水で湿らせたスプーンの上で薬が散らばらないようにまとめると、飲ませやすくなることがあります。

少量の水や唾液ですぐ溶ける錠剤
（口腔内崩壊錠：ＯＤ錠）

錠剤が少量の水や唾液ですぐに溶けるので、のどに詰まらせることなく比較的容易に飲み込むことができます。
錠剤を飲むことが苦手な子どもでも楽に飲めます。

掻くことをやめさせるのと同じように、薬を飲めたときは、子どもをよく褒めてあげましょう。

外用薬はしっかりと塗りましょう

皮膚の炎症を改善するステロイド外用薬の使用量は、多すぎても少なすぎてもいけません。お医者さんに指示された十分量と回数を守り、適正に塗りましょう（参考：FTU）。塗るタイミングは入浴後、皮膚が乾燥しないうちが効果的です。

皮膚症状を悪化させないためのスキンケア・セルフケア

アトピー性皮膚炎は、治療とともに症状を悪化させないためにスキンケア・セルフケアが大切です。
子どもは自分ではできないので、保護者の方がしっかり行ってあげましょう。

体を洗うときは、こすらず、やさしく

皮膚を清潔に保つことは重要ですが、強く洗うと肌が傷ついてしまい逆効果です。
石鹸をよく泡立てると、強くこすらずにやさしく洗うだけで汚れが落ち、石鹸も洗い流しやすくなります。石鹸が体に残っていると症状悪化の原因になるので注意しましょう。
また、湿疹がひどいときは、保護者の手でやさしく洗ってあげてください。