- Q1.
- 日本には何人くらい乾癬患者さんがいますか?
- A.
-
日本における乾癬患者さんの数は約20〜40万人(約300〜500人に1人)と推計されています。
- 出典:久保田 潔, ほか(2013)ナショナルレセプトデータベースの活用可能性を探る-乾癬の疫学研究から-日本薬剤疫学会, 11月16日-17日 2013, 東京, 2013:39
- 出典:飯塚一『皮膚科臨床アセット⑩』, 中山書店. p2, 2012
- Q2.
- 乾癬の原因は何ですか?
- A.
-
遺伝的素因(生まれ持った体質)に様々な環境因子(精神的ストレス、肥満、糖尿病、高血圧、不規則な食生活、季節、感染症、薬など)が加わることで発症すると言われています。また最近の研究により、免疫の異常も関与していることも明らかになってきました。(詳しくは「乾癬の原因」へ)
- Q3.
- うつる病気ですか?
- A.
-
「カンセン」という名前から、感染する病気と勘違いされやすいですが、感染することはありません。
- Q4.
- 乾癬は遺伝しますか?
- A.
-
乾癬になりやすい体質は遺伝するとされていますが、必ずしも体質だけで発症するわけではなく、そこに様々な環境因子が加わることで発症します。日本で行われた調査では、乾癬の家族内発症頻度は 4.4%であることが報告されています。
- Q5.
- 乾癬ではどんな症状がよくみられますか?
- Q6.
- 症状が現れやすい部位はありますか?
- A.
-
乾癬の症状は全身のどこにでも現れますが、頭部や髪の生え際、膝、肘、腰まわりなどこすれる部位に出やすいのが特徴です。はじめに頭部、下肢から症状が現れる方が多いとされています。
- Q7.
- 皮膚に現れる症状以外にはどんなものがありますか?
- A.
-
乾癬にはいくつかの種類があり、その中の一つである関節症性乾癬(かんせつしょうせいかんせん)では、関節の痛みや腫れ、こわばり、変形など、関節リウマチに似た症状が現れることがあります。また、頻度は稀ですが、膿疱性乾癬(のうほうせいかんせん)や乾癬性紅皮症(かんせんせいこうひしょう)では、発熱などの全身症状が現れることがあります。(詳しくは「乾癬の種類」へ)
- Q8.
- 治療すれば乾癬は完治しますか?
- A.
-
乾癬は良くなったり悪くなったりを繰り返す病気ですが、治療法が進歩してきたこともあり、皮疹がほとんどない状態を長く維持している患者さんも少なくありません。また、関節症状についても、症状がほとんどなくなり、支障なく日常生活を送っている患者さんもいます。
- Q9.
- どんな治療法がありますか?
- A.
-
乾癬の治療法には、大きく分けて4つの治療法があります。治療の中心は塗り薬を用いた外用療法で、重症化とともに光線療法や飲み薬を用いた内服療法が用いられます。さらに、これらの治療法で十分な効果が得られない場合に生物学的製剤による治療が行われます。(詳しくは「乾癬の治療 -治療方針と治療法-」へ)
- Q10.
- 治療を続けてもなかなか良くならないんです。治療法を変えた方が良いですか?
- A.
-
治療法によっては、効果がみられるまでに比較的時間がかかるものもありますので、根気よく続けることが大切です。また、乾癬の症状は環境や精神的ストレスにより悪化することもありますので、治療だけでなく、症状が悪化する原因をできるだけ避けることも大切です。(詳しくは「日常生活での注意点」へ)ご自身が苦痛に感じている症状や希望をお医者さんに伝え、相談しながらご自身が納得のいく治療を見つけていきましょう。
- Q11.
- 民間療法を行ってもいいですか?
- A.
-
様々な民間療法が世に出回っていますが、科学的に効果が証明されていないものが多く見受けられます。民間療法を試したい場合には、皮膚科専門のお医者さんに相談してみましょう。
- Q12.
- 海水浴は乾癬に効きますか?
- A.
-
死海(イスラエルとヨルダンの国境にある塩湖)による治療は、一定の効果が報告されています。
ただし、日本在住の患者さんにとっては旅費が高額ですし、最近では水質の変化などの問題点も指摘されています。- 出典:小林仁『皮膚科臨床アセット⑩』, 中山書店. p272, 2012
- Q13.
- 温泉は乾癬に効きますか?
- A.
-
北海道などの一部の温泉で、乾癬の症状が緩和されるという報告があります。ただし、イオウ泉など皮膚の乾燥やかゆみを生じやすい泉質もありますので、注意が必要です。
- 出典:内野栄治, ほか:J Hot Spring Sci, 62:66, 2012
- Q14.
- 漢方薬は乾癬に効きますか?
- A.
-
漢方薬のみで十分な効果が得られることは少ないため、まずは標準的な治療を行い、患者さんの状態に応じて補助的に用いることがあります。
なお、2020年8月時点では「乾癬」に保険適用を有する漢方薬はありません。
- Q15.
- かゆくて仕方がないです。どうしたらいいですか?
- A.
-
ひっかくなどの皮膚への刺激は症状を悪化させます。我慢できない場合には、かゆみを和らげる薬もありますので、お医者さんに相談してみましょう。
また、普段、薬を塗る際に、擦りこんでしまうとかゆみが増すことがありますので、やさしく塗り広げるようにしましょう。かゆい部分を冷やすことで、かゆみが和らぐこともあります。
- Q16.
- 食事で注意すべきことはありますか?
- A.
-
乾癬はメタボリックシンドロームとの関連が指摘されていますので、高カロリー食はできるだけ控えた方が良いでしょう。また、香辛料などの刺激物もかゆみがひどくなることがありますので、控えるように心がけましょう。
一方で、マグロや青魚などに含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)は中性脂肪を下げる働きなどがあるため、積極的に摂るように心がけましょう。
- Q17.
- 喫煙や飲酒は問題ないですか?
- A.
-
喫煙は乾癬の発症だけでなく悪化因子にもなるため、禁煙するようにしましょう。
また、お酒もかゆみが増しますので、できるだけ控えるように心がけましょう。完全にやめることができなくても適度に休肝日を設けるようにしましょう。
- Q18.
- 入浴時に注意すべきことはありますか?
- A.
-
ぬるま湯(目安は40℃)に設定し、症状がある部分はゴシゴシ擦らず、鱗屑(りんせつ)をはがさないよう手で優しくなでるように洗いましょう。
また、石鹸やシャンプーの使い過ぎは刺激や乾燥につながりますので、2〜3日に1回のペースで使うようにしましょう。
- Q19.
- 服装で注意すべきことはありますか?
- A.
-
衣服がこすれることで症状が悪化することがありますので、できるだけ柔らかくて刺激が少ない衣服、からだへの締め付けが強くない衣服を選ぶようにしましょう。