生活習慣は乾癬の発症や悪化に関係していることから、生活習慣を改善することが乾癬の治療を進める上で最も重要です。
乾癬はメタボリックシンドロームとの関連が指摘されていますので、バランスの良い食事や適度な運動を心がけましょう。また、症状を悪化させないためにも、皮膚への刺激が少ない衣服選びや感染症予防、ストレス解消、かゆみケアなども大切です。
一度に全て改善するのは難しいですが、自分らしい日常生活が送れるよう、あきらめずに、無理のない範囲で生活を改善していきましょう。
乾癬患者さんではそうでない人に比べて喫煙率が高く、また、重症乾癬の患者さんでは軽症の患者さんに比べて喫煙が多いことなどから(*1)、喫煙は乾癬の発症だけでなく悪化因子になると考えられているため、禁煙するようにしましょう。
また、お酒もかゆみが増しますので、できるだけ控えるように心がけましょう。完全にやめることができなくても適度に休肝日を設けるようにしましょう。
乾癬はメタボリックシンドロームと関連するとされており、乾癬患者さんではBMIが高く、メタボリックシンドロームを合併すると、より重症になることが報告されています(*2)。そのため、高カロリー食(高脂肪食や肉に偏った食事)はできるだけ控えた方が良いでしょう。
また、香辛料などの刺激物はからだが温まり、かゆみがひどくなることがありますので、できるだけ控えた方が良いでしょう。
一方で、マグロや青魚などに多く含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)は中性脂肪を下げる働きがありますので、積極的に摂るように心がけましょう。
乾癬はメタボリックシンドロームとの関連が指摘されていますので、高血圧や糖尿病、脂質異常症に対する治療と同様に、適度に運動することが大切です。また適度な運動は気分転換にもなり、ストレス解消につながることが期待できますので、無理のない範囲でからだを動かすようにしましょう。
衣服がこすれることで症状が悪化することがありますので、できるだけ柔らかくて刺激が少ない衣服、からだへの締め付けが強くない衣服を選ぶようにしましょう。また、乾癬の症状は日光により改善するとされていますので、適度に日光にあたるよう心がけましょう。ただし、肌を見せたくない場合などは無理をする必要はありません。なお、日光の浴びすぎにより、かえって悪化してしまうこともありますので、浴びすぎないようにしましょう。
お湯はぬるま湯(目安は40℃)に設定し、症状がある部分はゴシゴシ擦らず、鱗屑(りんせつ)をはがさないよう手で優しくなでるように洗いましょう。
また、石鹸やシャンプーの使い過ぎは刺激や乾燥につながりますので、2〜3日に1回のペースで使うようにしましょう。
ストレスは症状を悪化させる原因として、よく知られています。仕事や家庭など日常生活でのストレスに加え、症状がストレスとなり、さらに悪化させてしまうことがあります。ストレスはため込まず、自分なりのストレス解消法を見つけましょう。
皮膚が乾燥しないよう、加湿器や保湿剤などを使用しましょう。特に、冬は乾燥しやすいので注意が必要です。
かぜなどの感染症にかかると乾癬の症状が悪化することがあります。日頃からうがい、手洗いによる予防を心がけましょう
ひっかくなどの皮膚への刺激は症状を悪化させます。我慢できない場合には、かゆみを和らげる薬もありますので、お医者さんに相談してみましょう。
また、普段、薬を塗る際に、擦りこんでしまうとかゆみが増すことがありますので、やさしく塗り広げるようにしましょう。かゆい部分を冷やすことで、かゆみが和らぐこともあります。
- (*1) 出典:Gerdes S, et al:Dermatology, 220:38, 2010
- (*2) 出典:Takahashi H, et al:J Dermatol Sci, 57:143, 2010