サステナブル調達

方針・戦略

協和キリングループはサプライヤーのご理解とご協力を得ながら、サプライチェーン全体でサステナブル調達を推進していきます。
高品質の製品を安定して供給するために、オープンでフェアなサステナブル調達に取り組んでおり、サプライヤーとともにサステナブル調達を推進していくことを表明した「協和キリングループ調達基本方針」※1を定めています。
サステナブル調達の重要性が高まっており、国際基準や法令に従い「協和キリングループサプライヤー行動指針」を改正し、サプライチェーン全体で守っていくべきこととして本Webサイトに掲載しています。
協和キリングループはサプライヤーに対して、適用される国際基準・法令等を遵守するとともに、協和キリングループサプライヤー行動指針記載事項に応えていただくことを期待します。
協和キリングループは、協和キリングループサプライヤー行動指針の遵守状況について、サプライヤー評価を実施し、サプライヤーに対し、特定された課題の是正を含めて協力を求めます。
協和キリングループは、高品質な製品を安定して供給するために、特定された課題の改善に取り組んでいただけるサプライヤーと協働していきます。

  1. ※1:キリングループの方針に準じ策定した「協和キリングループ行動規範」に基づき「協和キリングループ調達基本方針」を策定しています。
  2. ※2:協和キリングループサプライヤー行動指針は、グローバル製薬企業で構成される非営利団体 PSCI(Pharmaceutical Supply Chain Initiative)が策定した「責任あるサプライチェーン・マネジメントのための製薬業界の原則(Pharmaceutical Industry Principles for Responsible Supply Chain Management)」を参照して策定しています。

協和キリングループ調達基本方針

協和キリングループの調達活動において、「協和キリングループ 調達基本方針」を制定し、この方針を通して、サプライヤーとの間に長期的な信頼関係を築きながら、共に企業としての社会的責任を果たすため、関連するすべての法令やルールを遵守し、公平・公正で透明な調達活動に努めていきます。

協和キリングループ 調達基本方針
Ⅰ.目的
協和キリングループは、その経営理念において、世界の人々の健康と豊かさに貢献することを目的に、ライフサイエンスとテクノロジーを強みとして、新しい価値を創造することを実現するために、サプライヤーと協力してサステナブル調達活動を推進し、持続可能な社会の発展に貢献していきます。
Ⅱ.適用範囲
協和キリングループ調達基本方針は、グループで従事するすべての者に適用し、地域および国、立場および地位(役員、社員および派遣スタッフ等)ならびに常勤・非常勤を問いません。
Ⅲ.用語の定義
  1. サステナブル調達とは、ライフサイクル全体にわたって生じる最も肯定的な環境的、社会的、経済的影響をもち、悪影響を最小化しようとする調達行為をいいます。
Ⅳ.基本原則
  1. 品質本位
    1. 調達活動においては、「協和キリングループ 品質基本方針」に沿って安全と品質を優先し、さらにコストについても重視します。
    2. お客様にとっての価値を向上させる新しい技術およびご提案を歓迎します。
  2. オープンでフェアなお取引
    1. サプライヤーの選定は、品質(Q)、コスト(C)、納期(D)、サステナブル(S)および安定調達のほかに技術力および提案力等を総合的に評価したうえで行います。
    2. 複数のサプライヤーからの競争見積りによる調達を原則とし、公平な参入機会を提供します。
  3. コンプライアンスの遵守
    1. 社会規範、関連する法令およびその精神を遵守し、社会に信頼される良識のある活動を実施します。
    2. 調達に関わる担当者は、いかなるサプライヤーとも個人的な利害関係を持ちません。社会規範から逸脱するような不当な謝礼および贈答品は受け取りません。寄付および協和キリングループの製品・サービス等の利用を強要しません。また、互恵取引を前提とした調達活動を実施しません。
  4. 環境への配慮
    1. 法令、条例および業界の自主基準に加えて、協和キリングループ各社でも自主基準を設定し、自然と調和・共存する社会づくりを目指します。
    2. 「協和キリングループ 環境基本方針」に則り、環境への配慮および汚染の防止を心がけ、サプライヤーと協力し地球環境に配慮した調達活動を実践します。
  5. サプライヤーとの相互の信頼と繁栄
    1. サプライヤーと長期的な信頼関係を築き共存共栄を図ります。また、サプライヤーと協力しリスクの適切な管理と未然防止を徹底し、社会と経営への影響を回避する取り組みに努めます。
    2. サプライヤーにご提供頂いた個人情報および営業秘密については適切に管理し、ご提供者の了解なく社内外に公表しません。

協和キリングループサプライヤー行動指針

協和キリングループはサプライチェーン全体でサステナブル調達を推進すべく、「協和キリングループサプライヤー行動指針」を定めています。サプライヤーの皆様には、「協和キリングループサプライヤー行動指針」に示す各項目をご理解いただき、これらの項目に則った活動をお願いいたします。またサプライヤーの皆様自身の企業活動をサステナブルの視点で振り返り、さらなる向上に努めていただくようお願いいたします。

「協和キリングループサプライヤー行動指針」は、以下の7つの観点から構成されます。

  1. 社会との関係
    社会のよき一員として、持続可能な経済成長と社会的課題の解決を図ります。その実現のために、すべてのステークホルダーと良好な関係を築きます。
  2. 従業員との関係
    各自の人間性を尊重し、働きやすい職場環境の維持に努めます。
  3. ルールの遵守
    社会のルールを守り、誠実に高い倫理観を持って行動します。
  4. 人権尊重
    すべての人々の人権、人格を尊重します。
  5. 環境保全
    環境問題の取り組みは人類共通の課題であり、企業の活動と存続に必須の要件であるという認 識の下、主体的に行動します。
  6. 情報管理
    私たちの事業に関する情報を適正に管理します。
  7. リスクマネジメント
    私たちの事業にかかるリスクおよびクライシスを適切に管理します。

本指針は、サプライチェーン全体で理解し指針に沿った取り組みの実行をすることがサステナブル調達の実現のために重要です。
本指針を受けたサプライヤーの皆さまは、サプライヤー社内はもとより、2次サプライヤーの皆さまへも本指針を伝えていき適切な資源配分と仕組みを整えていってください。本指針に関連した懸念事項は、適切に調査をして解決してください。
加えて、マネジメントシステムによりそれぞれの取り組みを管理して、サプライチェーン全体での持続可能な社会の実現に向けて、ご協力お願いします。

ガバナンス

サステナブル調達の推進は協和キリングループ共通の課題となっています。各社・各部署がそれぞれの課題をアクションプランに盛り込み、課題解決の取組みを進めています。また、協和キリングループCSR委員会で取組みの進捗を報告しています。
サステナブル調達を実践することの重要性を、全従業員の共通認識とするため、全従業員向けの教育を毎年定期的に実施しています。2019年から開始した国内グループ会社向けの教育も継続、海外グループ会社においては独自の教育を実施しています。

リスク管理

サプライヤーマネジメント

協和キリングループでは、サプライチェーン上のリスク管理を実施しています。お薬を安定して供給する上では、サプライヤーから安定的に原材料等を調達することが必要です。
サプライヤーへの調達方針の伝達、サプライヤーのサステナブル活動状況やサプライヤー自体の経営安定性など、外部の情報も得て、リスク管理をしています。

サプライヤーホットライン

調達お取り引きに関するコンプライアンス上のお問い合わせ

サプライヤーの皆様が、当社グループとのお取り引きにおいて、当社グループ社員などによる法令等の違反行為(または、そのおそれがある行為)を認識された場合に、皆様から情報を提供していただくための受付窓口を設置しています。当窓口は調達担当部署からは完全に独立しており、情報提供されたサプライヤー様に対して不利益な取り扱いが行われないことを保証いたします。また、事実関係の調査におきましてご協力をいただく場合があります。

お問い合わせには、お問い合わせフォーム冒頭のご注意事項にご同意いただき、ご利用をお願いします。

人権に関わる通報窓口
(幅広いステークホルダー向け)

当社グループは一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)が提供する国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠した「対話救済プラットフォーム」にて、サプライチェーン上のあらゆるステークホルダーを対象として、人権に関わる苦情・通報を受け付けています。
第三者を介して苦情を受付けることで、苦情処理の公平性・透明性を図り、適切に苦情・通報に対応していくことで、人権における本質的な課題解決に取組みます。受け付けた通報については、通報事実に関する調査の実施及び通報に関しての必要な対話の実施、是正措置等(再発防止・異議申し立てへの対応含む)の実施等を行います。 通報への対応等に際し、通報者に不利益が及ばないようにするとともに、個人情報の保護に努めます。また法令に基づく場合等の正当な理由がない限り、事案に関する情報を目的外に使用は致しません。
JaCERを通じた通報については、JaCERのホームページ上で定期的に匿名で情報開示を行います。

指標および目標

協和キリンが健全な事業活動や社会的責任を果たすためには、重要なパートナーであるサプライヤーの皆様にも弊社のサステナブル調達に対する考え方をご理解いただくとともに、サステナブル調達への取り組みにご協力いただくことが不可欠であると考えています。
サプライヤーの皆様とのオープンでフェアなお取り引きと、イコール・パートナーの精神でご協力を得ながら、ともに発展していけるよう、サステナブル調達を積極的に推進していきます。

具体的な取り組み

協和キリンでは、サプライヤーとのお取り引きでの各段階において、以下の施策を実行しています。

  1. お取り引き前
    • サプライヤーへのサステナブル調達の周知
      • 新規にお取り引きを開始する際に、グループサプライヤー行動指針を説明し、ご理解、ご協力をお願いしています。
      • 新規お取り引きが多い場合などは、適宜サプライヤーに向けお取り引き開始に係る説明会を開催してきています(2018年高崎工場、2021年調達システム変更に伴う説明会)。
  2. サプライヤー選定・契約
    • 客観的な情報を活用し、社内基準に則り、サプライヤーの選定をしています。
    • 継続してお取り引きしているサプライヤーにおいては、協和キリングループサプライヤー行動指針遵守についての契約締結をしてきています。
  3. 契約後のフォロー

    客観的指標に基づくサプライヤーの状況把握、リスク評価とリスクに応じたサプライヤーの追跡調査を実施しています。

    • 2022年よりマネジメント対象のサプライヤーを決めています。マネジメントのレベルにより、能動的な情報取得活動をしています。
    • マネジメント対象のサプライヤーには、①サステナブル活動状況のアンケート調査を実施し、サプライチェーン上の課題を抽出、②サプライヤー説明会開催をご案内し、課題の共有などサプライヤー各社の意識付けに活用しています。
    • 懸念事項があった場合は、追跡調査・訪問などにより懸念事項の対応状況についての点検を実施しています。特に重要な懸念事項が発生した場合は、基準に沿い取引の見直しをしています。
    • サプライヤーへの個別の訪問や、直接の面談、オンライン会議などで、サステナブル活動上の課題の共有・確認をしています。
    • 品質部門の監査に調達担当者が同行して、直接現場の確認をしています。

サステナブル調達アンケート

「協和キリングループサプライヤー行動指針」の項目に沿って、毎年サステナブル調達アンケートを実施し、サプライチェーンにおけるサステナブル活動の現状把握と分析、課題抽出に取り組んでおります。サステナブル調達アンケートの結果は、ご回答いただいたサプライヤーにフィードバックしています。なお、2019年からは海外のサプライヤーへのサステナブル調達アンケートを実施しています。

サステナブル調達活動状況3か年比較(2020年-2022年)チャート図には2022年、2021年、2020年から順にサプライヤーのテーマ別の対応状況の割合を示しています。なお、2021年より、環境・人権・情報セキュリティの重要性が増したことから、開示する範囲(人権尊重、環境汚染発生抑制)を拡大しました。サイバー攻撃対策とリスクマネジメントの項目は2021年からの新規の項目です。品質方針:2022年 95.6% 2021年 93.9% 2020年 95.1% 不正取引:2022年 100% 2021年 100% 2020年 100%法令順守:2022年 97.4% 2021年 98.9% 2020年 98.5%上流サプライヤーへの取り組み:2022年 72.9% 2021年69.6% 2020年 68.6%リスクマネジメント:2022年 89.5% 2021年86.6%労働災害対策:2022年 99.3% 2021年 98.3% 2020年99.3%人権尊重(強制労働防止の方針策定):2022年 77.9% 2021年74.9% 2020年 73.1%ハラスメント防止:2022年 95.3% 2021年89.1% 2020年 87.3%BCP策定:2022年 91.2% 2021年 88.0% 2020年 86.0%企業の社会的責任の方針・規範の整備:2022年 87.1% 2021年 79.7% 2020年 77.5%環境汚染発生抑制:2022年 88.5% 2021年 83.6% 2020年 79.1%温暖化対策:2022年 83.9% 2021年 73.5% 2020年 68.5%生物多様性の配慮:2022年 75.6% 2021年 66.7% 2020年 59.4%グリーン調達:2022年 71.2% 2021年68.0% 2020年 64.9%情報セキュリティ:2022年 98.1% 2021年97.2% 2020年 96.5%サイバー攻撃対策:2022年 95.7% 2021年93.8%

2022年アンケート結果からみえる現状と課題

2022年よりアンケートの調査対象を変更しました。アンケートの調査先は弊社との取引内容からサプライヤーを絞りこみ、結果として430社からの回答を得ました。

  • 前年と比較して、設問に対して「できている」と回答した率が5%以上伸びたのは、①環境保全、②企業の社会的責任の方針整備、③ハラスメント防止対策でした。5%までは至らないものの上流サプライヤーへのサステナブル面の取り組みも向上しておりました。この結果から、サプライヤー各社がサステナブル活動を推進していることが窺い知れます。
  • 個別の項目では、不正取引(贈賄や反社会的勢力との関係)はない状態でした。法令順守はいくつかの事例(下請法、一部独占禁止法)の報告がありましたが、いずれの項目についてもすべてのサプライヤー様において再発防止対策を実行したとの回答であり、事例発生防止について組織として取り組んでいることを認識しました。
  • 上流サプライヤーへもサステナブルの取り組みが大きく向上し、初めて70%を超えました。サステナブルの諸課題はサプライチェーン全体の課題になります。今後も上流サプライヤーにサステナブル活動を広く連鎖していくことが改善課題といえます。
  • 人権尊重は、世界共通の課題です。その中で、人権尊重(強制労働や児童労働防止の方針策定)は77.9%、前年比4%向上していました。方針策定は人権尊重の取組みをする上での第一歩になるもので、引き続き改善課題といえます。
  • 環境保全は、「できている」と回答した率が大幅に向上していました。今後も環境保全の活動を推進することを願います。グリーン調達(環境負荷の少ない製商品・サービスや環境配慮等に積極的に取り組んでいる企業からの調達)は向上しているものの、70%を超えたところです。環境保全の取り組みとして環境に配慮したモノ・サービスの調達推進を希望します。
  • 事業継続計画(BCP)は、はじめて90%を超えました。BCPの重要性が認識されたと考えます。
  • 情報セキュリティ・サイバー攻撃対策は、すでに多くのサプライヤーが対策を実施しており、サプライヤー各社のリスクへの対応も進んでいます。数値面はよいですが、サイバー攻撃数や手口の巧妙化もあり、本対策は継続して改善課題といえます。

サプライヤー説明会

サプライチェーン全体での課題やその解決策に関し情報交換などを行うサプライチェーン交流会を2018年より開催しています。

2023年11月には、サプライヤー説明会(Webinar形式)を開催し395社が参加しました。
今回のサプライヤー説明会は、協和キリングループにおける「CSR調達」から「サステナブル調達」への進化を踏まえ、「サステナブル調達の実現に向けて」をテーマとしました。協和キリングループの方針・取り組みを説明する場だけではなく、昨今高まっている人権・環境に関する社会的要請への対応、サステナブル調達の推進についてサプライヤー各社とともに考える機会として開催しました。

サプライヤー説明会(Webinar形式)配布資料より抜粋

人権デュー・デリジェンス

協和キリンでは、サプライヤーに対する人権デュー・ディリジェンスの調査も行っています。

2023年は高崎事業場のサプライヤーについて、外国人技能実習生に関する調査を行いました。そして、実際に技能実習生を受け入れているサプライヤー(新日本ウエックス株式会社様別ウィンドウで開きます)の管理部門および技能実習生に直接インタビューを実施しました。その結果、人権侵害については、現時点において特段懸念すべき事項がなかったことを確認し、報告書を同社にフィードバックしています。

今後も引き続き、サプライチェーンにおける人権課題について、調査・評価を進めていきます。

今後に向けて

協和キリングループは、サプライヤーの皆様のご協力をいただきながらサステナブル活動の現状を振り返り、課題を認識し、改善に努めています。特に社会的に注目の高い課題として、贈賄・人権デューデリジェンスを実施しており、今後も継続してまいります。環境保全についても、課題認識して温暖化防止などにつながる活動を推進しています。

今後は、協和キリングループとしての取組みを継続し、サプライチェーン全体の連携をより一層強め、すべてのサプライヤーとともにサステナブル調達を積極的に推進していきます。

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