再発・難治性濾胞性リンパ腫および辺縁帯リンパ腫を対象としたリツキシマブ併用zandelisibの第3相国際共同試験(COASTAL試験)の開始について

本ニュースリリースは、当社とMEI Pharma,Inc.が発表した英文プレスリリースの内容を、当社が日本語に翻訳、再構成し、発表しています。本ニュースリリースの正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先しますことにご留意下さい。協和キリン 英語リリース別ウィンドウで開きます

協和キリン株式会社(本社:東京、代表取締役社長:宮本昌志、以下「協和キリン」)とMEI Pharma, Inc.(本社:米国サンディエゴ、社長兼 CEO:Daniel P. Gold、以下「MEI」)は、現在開発中のホスファチジルイノシトール3-キナーゼデルタ(PI3Kδ)阻害剤であるzandelisib(開発番号:ME-401)について、第3相国際共同試験であるCOASTAL試験を開始したことをお知らせします。本試験では、少なくとも1回以上の前治療歴のある再発または難治性の濾胞性リンパ腫および辺縁帯リンパ腫症例を対象に、zandelisibとリツキシマブとの併用効果を検証します。

治験責任医師であるポーランド、クラクフのMaria Sklodowska-Curie国立腫瘍学研究所 臨床腫瘍学部門のWojciech Jurczak教授は、次のように述べています。「Zandelisibは、再発または難治性の濾胞性リンパ腫または辺縁帯リンパ腫の患者さんにとって意義のある利益をもたらす、ベストインクラスの治療法を提供できる可能性を有しています。濾胞性リンパ腫や辺縁帯リンパ腫と診断された患者さんのうち、多くの患者さんは初回治療後に病気が再発してしまうことが多く、また、初回治療でうまく効果が出ない患者さんも一定数いらっしゃいます。そのため、リツキシマブと化学療法を併用する初回治療の後に化学療法を含まない治療法が追加できるようになることは非常に重要です。」

COASTAL試験はランダム化、非盲検の第3相国際共同試験であり、抗CD20抗体+化学療法もしくは抗CD20抗体+レナリドミドの併用療法の内、少なくとも1回の前治療歴のある再発または難治性の濾胞性リンパ腫および辺縁帯リンパ腫症例を対象に、zandelisib+リツキシマブの併用療法と、標準的な化学療法+リツキシマブの併用療法の治療効果を比較検討する試験で、534症例を登録予定です。Zandelisib群では、計24か月間の治療期間のうち、1サイクル28日として、最初の2サイクルは1日1回投与、その後の残りの期間は各サイクルの最初の7日間のみ1日1回投与する間歇投与を行い、その内最初の6か月はリツキシマブを併用投与します。コントロール群は、標準的なレジメンであるR-CHOP(R: リツキシマブ、C: シクロフォスファミド、H: ドキソルビシン、O: ビンクリスチン、P: プレドニゾンまたはプレドニゾロン)もしくはR+B(B: ベンダムスチン)を6サイクル投与します。主要評価項目は無増悪生存期間、副次評価項目は全奏効率、全生存期間、患者報告アウトカム評価、安全性、忍容性です。

また本試験より、少なくとも1回の前治療歴のある再発または難治性の濾胞性リンパ腫および辺縁帯リンパ腫症例におけるFDA(米国食品医薬品局)の承認取得、および世界各国での販売承認申請をサポートする結果を得ることを期待しています。さらに本試験は、少なくとも2回以上の前治療歴のある、再発または難治性の濾胞性リンパ腫および辺縁帯リンパ腫症例を対象とした第2相TIDAL試験の結果に基づく、zandelisibの迅速承認に要求される検証的試験としての役割も備えています。

MEIのCEOであるDaniel P. Goldは次のように述べています。「今年前半にASCOで報告したzandelisibの第1b相試験の結果より、再発または難治性の濾胞性リンパ腫患者さんに対するリツキシマブとの併用療法において95%の奏効率が得られ、グレード3の有害事象の発現も低頻度であることが示されており、COASTAL試験を開始するにあたって非常に心強いデータが得られています。今後も我々のグローバルパートナーである協和キリンとの緊密な連携のもと、B細胞悪性腫瘍の患者さんに対する新たな治療法としてのzandelisibの可能性を確かなものとするために、少なくとも1回の前治療歴がある再発または難治性の濾胞性リンパ腫および辺縁帯リンパ腫患者さんを対象としたzandelisibの開発プログラムを、さらに前進させたいと思います。」

協和キリンの執行役員 研究開発本部長 鳥居義史は、「この第3相COASTAL試験は、再発または難治性の濾胞性リンパ腫および辺縁帯リンパ腫患者さんに対するzandelisibの治療効果の検討に重要な役割を果たすものです。我々は引き続き、MEI Pharmaとの提携のもと、ライフサイエンスとテクノロジーを追求するR&D-drivenな製薬企業として医療従事者の皆様や患者さんと協力して活動しながら、zandelisibを一刻も早く患者さんにお届けできるよう精進してまいります。」と述べています。

Zandelisibについて

Zandelisib(開発番号:ME-401)は、B細胞悪性腫瘍を対象とした、1日1回経口投与する治療薬として現在開発中の選択的PI3Kδ阻害剤で、その分子構造と薬理学的特性は他剤と異なっています。本剤は、寛解導入における連日投与に続き、免疫関連の有害事象を軽減しながら治療効果を持続させるための間歇投与を行うことで、投与スケジュールを最適化しています。米国FDAは、 2020年3月に本剤をファスト・トラックに指定しました。

協和キリンとMEIは2020年4月にzandelisibのグローバルライセンスおよび共同開発・販売契約を締結しました。両社は米国では本剤を共同で開発・販売し、製品の売上収益はMEIが計上する一方で、米国以外の地域では協和キリンが本剤の独占的な販売権を有し、MEIに売上収益に応じたロイヤルティを支払います。

現在、単剤療法としてzandelisibを評価する第2相国際共同試験 TIDAL試験が進行中です。本試験は再発または難治性の濾胞性リンパ腫症例の治療を目的とした第1試験群、辺縁帯リンパ腫を対象とした第2試験群で構成されており、いずれも化学療法と抗CD20抗体を含む少なくとも2回の全身治療歴をもつ症例が対象となっています。主要評価項目は客観的奏効率です。本結果とFDAとの議論に基づき、各試験群のデータはFDAに迅速承認申請する際の資料となる予定です。

また協和キリンは、低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫(小リンパ球性リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症を除く)を対象とした国内第2相臨床試験を実施中です。本試験の結果は日本での製造販売承認申請にも用いる予定です。

PI3Kδについて
ホスファチジルイノシトール 3-キナーゼデルタ(PI3Kδ)はがん細胞の多くに過剰な発現が見られ、血液がんの増殖と生存の鍵となる役割を果たしています。ZandelisibはPI3Kδ のアイソフォームに対して高い選択性を示し、他のPI3Kδ阻害剤とは異なる医薬品特性を有しています。
濾胞性リンパ腫と辺縁帯リンパ腫について*

濾胞性リンパ腫(FL)は、全てのがんの内4%を占めるとされる、米国で最も多いがんの一つである非ホジキンリンパ腫(NHL)の内、約20%を占める代表的な低悪性度リンパ腫の1つです。この病気はリンパ球と呼ばれる白血球の1つであるB細胞で生じ、大半の症例では緩やかに進行する傾向を示します。平均年齢は60歳であり、進行型のNHLであるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫に転化することがあります。

辺縁帯リンパ腫(MZL)も低悪性度または進行の遅いリンパ腫の1つであり、やはりB細胞上で生じます。米国ではNHLの5-10%を占める疾患であり、平均年齢は60歳です。

参考:現在進行中の主な臨床試験(Ph2以降)

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試験名 ステージ 開発国・地域1
TIDAL試験 Ph2 アメリカ、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、フランス、ドイツ、イタリア、韓国、 ニュージーランド、ポーランド、スペイン、スイス、台湾、イギリス
COASTAL試験 Ph3 アメリカ、カナダ、アルゼンチン、日本、台湾、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、ロシア、トルコ、ウクライナ、ギリシャ、ポーランド、ハンガリー、イタリア、ドイツ、オランダ、ベルギー、フランス、スペイン、イギリス、アイルランド、セルビア、ジョージア
MIRAGE試験2 Ph2 日本
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