Rocatinlimab(AMG 451 / KHK4083)に関するEADV 2023(欧州皮膚科性病科学会議)でのポスター発表とシンポジウム開催のお知らせ
協和キリン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:宮本 昌志以下、「協和キリン」)は、中等度から重度のアトピー性皮膚炎(AD)患者さんを対象として開発中のrocatinlimab(AMG 451 / KHK4083)のPhase 2b試験のサブ解析データを、2023年10月11日から14日までベルリンで開催されている欧州皮膚科性病科学会議(European Academy of Dermatology and Venereology, EADV)でポスター発表したことをお知らせします。
ADは、皮膚の発赤、そう痒、疼痛を特徴とする慢性的で多種多様な炎症性疾患であり、皮膚バリア障害とT細胞依存性の炎症経路によって引き起こされます。疾患の原因となる様々な炎症経路の相対的な寄与の度合いは、個々の集団間や時間経過と共に、個人内においても変化することがあります。
ADは小児期に発症することが多く、小児の15~20%、成人の最大10%が罹患し、非致死的疾患としては15番目に多い疾患で、世界的に広がりを見せており、世界のAD患者の約3人に1人が中等症から重症であるとされています。有効な治療薬がある一方で、様々なタイプの患者さんに持続的な効果をもたらし、高い有効性と安全性を有する新規治療薬がもとめられています。
協和キリンの執行役員 研究開発本部長の鳥居義史は次のように述べています。「rocatinlimabのPhase 2b試験の追加データをこのたび発表できることを嬉しく思います。今回のデータから、中等度から重度のアトピー性皮膚炎を患う患者さんの治療におけるrocatinlimabの可能性について、更なる知見が得られました。協和キリンはアムジェンと共に、新たな治療法をもたらすべく、アトピー性皮膚炎を対象とした複数のPhase 3試験を行いrocatinlimabの開発を進めております。」*現在登録中のグローバルPhase 3試験であるROCKETプログラムは、治験登録者数が1,200名を超えました。
- 演題:
- Rocatinlimab improves lichenification compared with placebo in adults with moderateto-severe atopic dermatitis in a Phase 2b trial
- 演者:
- Kenji Kabashima, MD, PhD., Ehsanollah Esfandiari, MD, PhD., Hirotaka Mano, ME, Camilla Chong, MD, DipPM, MFPM, Emma Guttman-Yassky, MD, PhD.,
- 発表日:
- 中央ヨーロッパ時間10月11日(水)
被験者をrocatinlimab 150mgもしくは600mgを4週ごと、rocatinlimab 300mgもしくは600mgを2週ごと(Q2W)、あるいはプラセボ(プラセボ:0~18週、rocatinlimab 600mg Q2W:18~36週)の5群に1:1:1:1:1の割合で割り付け、36週間の皮下投与を実施したのち、その後20週間(56週まで)の治験薬投与のないフォローアップ期間を設けました。EASI(Eczema Area and Severity Index)における苔癬化スコアは、頭頸部、体幹、上肢、および下肢の部位ごとに個別に評価しています。解析対象は267名で、rocatinlimab:n=210、プラセボ:n=57でした。
16週時のrocatinlimab治療群では、プラセボ群と比較してすべての部位においてEASI苔癬化スコアの改善がみられました。また、すべてのrocatinlimab治療群において、頭頸部でのEASI苔癬化スコアは、プラセボ群と比較して統計的に有意な改善が認められました。rocatinlimab治療群ではすべての部位において、EASI苔癬化スコアの改善は36週目まで継続し、56週目まで維持されました。18週目にプラセボからrocatinlimab治療に切り替えられた被験者も、EASI苔癬化スコアは36週目までにすべての部位でベースラインから改善し、56週目まで維持されました。
- 演題:
- Rocatinlimab improves SCORAD and DLQI in adults with moderate-to-severe atopic dermatitis and these effects were maintained in the 20-week off-treatment period in a double-blind randomized Phase 2b study
- 演者:
- Emma Guttman-Yassky, MD, PhD., Ehsanollah Esfandiari, MD, PhD, Camilla Chong, MD, DipPM, MFPM, Hirotaka Mano, ME, Kenji Kabashima, MD, PhD.
- 発表日:
- 中央ヨーロッパ時間10月11日(水)
被験者をrocatinlimab 150mgもしくは600mgを4週ごと、rocatinlimab 300mgもしくは600mgを2週ごと、あるいはプラセボ(プラセボ:0~18週、rocatinlimab 600mg Q2W:18~36週)の5群に1:1:1:1:1の割合で割り付け、36週間の皮下投与を実施したのち、その後20週間(56週まで)の治験薬投与のないフォローアップ期間を設けました。解析対象は267名で、rocatinlimab:n=210、プラセボ:n=57でした。
16週時のSCORAD(Severity Scoring of Atopic Dermatitis)スコアのベースラインからの変化率は、すべてのrocatinlimab治療群において、プラセボ群と比較して統計的に有意な差が得られました(p<0.001)。さらにSCORADスコア低下は、ベースライン時のEASIおよびIGA(Investigator’s Global Assessment)スコアに基づくAD重症度、AD診断期間、BMIおよび年齢に関わらず同様に確認されました。
ほとんどのサブグループはプラセボ群と比較して統計的に有意な改善を達成しました。SCORADスコアは、EASIスコア(主要評価項目)およびその他の評価項目と同様に、36週目まですべてのrocatinlimab治療群のすべてのサブグループで改善を続け、56週目まで維持されました。
- 演題:
- Rocatinlimab improves SCORAD and DLQI in adults with moderate-to-severe atopic dermatitis and these effects were maintained in the 20-week off-treatment period in a double-blind randomized Phase 2b study
- 演者:
- Emma Guttman-Yassky, MD, PhD., Ehsanollah Esfandiari, MD, PhD, Camilla Chong, MD, DipPM, MFPM, Hirotaka Mano, ME, Kenji Kabashima, MD, PhD.
- 発表日:
- 中央ヨーロッパ時間10月11日(水)
被験者をrocatinlimab150mgもしくは600mgを4週ごと、またはrocatinlimab 300mgもしくは600mgを2週ごと(rocatinlimab-rocatinlimab群)、あるいはプラセボ(プラセボ:0~18週、rocatinlimab 600mg Q2W:18~36週;プラセボ-rocatinlimab群)の5群に1:1:1:1:1の割合で割り付け、36週間の皮下投与を実施したのち、その後20週間(56週まで)の治験薬投与のないフォローアップ期間を設けました。解析対象は267名でした。
ベースラインスコアの平均は、SCORADで66.4~69.8、DLQI(Dermatology Life Quality Index)で11.9~13.8の範囲でした。16週時では、SCORADスコアの変化率は、プラセボ群と比較してすべてのrocatinlimab群で有意に改善がみられ(-19.99%に対して-41.04~-55.83%、すべてp<0.001)、DLQIスコア(-5.28%に対して-38.28~-50.42%、すべてp<0.02)も同様でした。ベースラインからのSCORAおよびDLQIスコアの改善は36週まで続き(すべてのrocatinlimab-rocatinlimab群で、それぞれ-60.42~-72.32%および-46.51~-67.81%)、20週間のフォローアップ期間後の56週まで維持されました(それぞれ、-59.76~-69.23%および-47.76~-60.76%)。プラセボ-rocatinlimab群において、18週目から実薬投与に切り替えるとSCORADとDLQIスコアは36週までにrocatinlimab-rocatinlimab群と同等となり(それぞれ-57.47%および-51.41%)、フォローアップ期間中維持されました(それぞれ-67.42%および-58.43%)。EASIスコアの改善と同様に、rocatinlimabはSCORADおよびDLQIスコアの有意な改善を示し、それはフォローアップ期の20週間にわたって維持されました。
すべてのrocatinlimab群において、発生率が5%以上でプラセボ群よりも頻繁に報告された有害事象(TEAE)には、発熱、悪寒、頭痛、アフタ性潰瘍、吐き気などがありました。発熱と悪寒の重症度はいずれも軽度から中等度で、そのほとんどがrocatinlimabの初回投与後のみに認められ、それにより治験が中止されることはありませんでした。また、過敏症の出現例や死亡例はありませんでした。
上記ポスター発表のほか、協和キリンはアムジェンとともにシンポジウムを共催しました。シンポジウムのタイトルは“ROCKETing forward: The future of atopic dermatitis treatment with OX40 signaling”で、10月11日13-14時(中央ヨーロッパ時間)にHall A4でAndreas Wollenberg, MD, Dr Med, Dr HC, Melinda Gooderham, MD, MSc, FRCPC and Richard B. Warren, PhD, FRCPが発表しました。
協和キリングループは、ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により、世界の人々の健康と豊かさに貢献します。
- rocatinlimabについて
- rocatinlimab(AMG 451 / KHK4083)は、現在開発中のファーストインクラスになりうるヒト型抗OX40モノクローナル抗体であり、全身および局所の炎症反応を促進する役割を担っているOX40を発現した病原性T細胞を阻害し、またその数を減少させます。
アトピー性皮膚炎の病変部には、OX40を発現した細胞が存在し、その発症に重要な役割を果たしていることが報告されています。
初期の抗体は当社の米国研究チームとラホヤ免疫研究所の共同研究により見いだされました。
- アムジェンと協和キリンの提携について
- 2021年6月1日、協和キリンとアムジェンはrocatinlimabの共同開発・販売に関する契約を締結しました。本契約に基づき、アムジェンは、本剤の開発、製造および協和キリンが単独で販売活動を担当する日本を除くグローバルでの販売活動を主導します。両社は米国において本剤のコ・プロモーションを行い、協和キリンは米国以外(日本を除く欧州およびアジア)においてコ・プロモーションを行う権利を有しています。