透析中の慢性腎臓病患者における高リン血症の改善を適応症としたフォゼベル®の国内製造販売承認取得のお知らせ

本ニュースリリースは、当社が発表した英文プレスリリースの内容を、当社が日本語に翻訳、再構成し、発表しています。本ニュースリリースの正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先することにご留意下さい。
協和キリン 英語リリース別ウィンドウで開きます

協和キリン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:宮本昌志、以下「協和キリン」)は米国Ardelyx社(マサチューセッツ州Waltham、社長兼 CEO:Mike Raab、以下「Ardelyx」)※1から導入した低分子化合物であるフォゼベル®(一般名:テナパノル塩酸塩、開発番号:KHK7791、以下「本剤」)※2について、透析中の慢性腎臓病患者における高リン血症の改善を適応症とした製造販売承認を本日付で取得したことをお知らせします。

今回の承認取得は、協和キリンが透析中の高リン血症患者を対象として実施した4つの国内第3相試験の結果に基づくものです。これらの試験結果から、本剤の単剤投与によりプラセボと比べて統計学的に有意に血中リン濃度を低下させることが示されました。また、既存のリン吸着薬による血中リン濃度の管理が困難であった患者に対する本剤の上乗せ投与でもプラセボと比べて統計学的に有意に血中リン濃度を低下させることが示されました。さらに、高リン血症治療に伴う既存のリン吸着薬による服薬負荷を軽減しつつも、長期間のリン管理が可能であることが示唆されました。安全性プロファイルはこれまでに実施した国内臨床試験と同様であり、新たな安全性上の問題は認められませんでした。

本剤はArdelyxによって創製され米国で開発が進められたファーストインクラスのリン吸収阻害剤で、協和キリンは2017年11月にArdelyxとの間で、本剤の日本における高リン血症を含む心腎疾患領域を対象とした独占的開発・販売権を取得するライセンス契約を締結しています。

協和キリンの執行役員 研究開発本部長 鳥居義史は、次のように述べています。「この度のフォゼベル®製造販売承認取得についてお伝えできることを心より喜ばしく感じています。独自の作用機序を有するリン吸収阻害薬であるフォゼベル®が透析中の慢性腎臓病患者さんにおける高リン血症治療の新たな選択肢となり、患者さんのQOL向上へ貢献できることを期待しています。また、Ardelyx社にはこの薬剤を市場に届けるために多大なご協力を賜わりました。引き続き強固なパートナーシップのもと、両社で協働して新たな治療選択肢を必要とする方々へフォゼベル®の適切な製品情報を提供してまいります。」

Ardelyxの代表取締役兼CEOであるMike Raabは、次のように述べています。「高リン血症の改善を適応症とするフォゼベル®の製造販売承認取得はテナパノル塩酸塩にとって画期的な第一歩です。契約開始以来の協和キリンの協力に感謝し、同社の尽力によりこの度の承認が実現したことを大変喜ばしく思います。私たちも、このフォゼベル®は患者さんにとって有益であり、透析施行中の慢性腎臓病患者さんの血中リン濃度コントロールに尽力されている日本の腎専門医の皆さまにとっても新たな、そして、重要な治療選択肢となることを確信しています。フォゼベル®を患者さんに届け、ひいては日本の腎領域に広く貢献するために、今後も協和キリンと協力していきます。」

協和キリングループは、ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により、世界の人々の健康と豊かさに貢献します。

※1Ardelyxについて
Ardelyxは重大なアンメット・メディカルニーズを満たす革新的なファーストインクラスの医薬品の研究開発・販売をミッションとして創設されました。Ardelyxとして初めて承認を取得した便秘型過敏性腸症候群(IBS-C)治療薬IBSRELA®(テナパノル塩酸塩)は、現在米国およびカナダで販売されています。また、Ardelyxはリン吸着薬による治療効果が不十分または忍容性に懸念のある透析期の慢性腎臓病患者における血中リン濃度をコントロールする新規医薬品候補としてXPHOZAH®(テナパノル塩酸塩)を開発中で、これまでに3つの第3相臨床試験と2つの第4相非盲検試験を完了しています。また、Ardelyxの有するRDX013は、腎臓病や心臓病の患者さんにおいて認められる血中カリウム濃度の上昇(高カリウム血症)の有効な治療薬として第2相の開発段階にあります。RDX013は慢性腎臓病患者さんにおける重度な電解質障害である代謝性アシドーシス治療薬としても初期開発を行っています。Ardelyxは、テナパノル塩酸塩について協和キリン(日本)、Fosun Pharma(中国)、また、Knight Therapeutics(カナダ)と各地域における開発および販売に関する契約を締結しています。
※2フォゼベル®(テナパノル塩酸塩)について
フォゼベル®はArdelyxによって創製・開発されたファーストインクラスのリン吸収阻害薬です。本剤特有のメカニズムにより、腸管で局所的にナトリウムイオン/プロトン交換輸送体3(NHE3)を阻害し、リン吸収の主要経路である傍細胞経路(細胞間隙経路)からのリン吸収を抑制します。
※3高リン血症について

高リン血症は、血液中のリン濃度が異常に上昇する重篤な疾患です。血中リン濃度は腎臓によって調節されていますが、腎機能が著しく低下すると、リンが体外に十分に排出されなくなります。そのため、透析施行中の慢性腎臓病患者さんにおいて、高リン血症は罹患率が高いことが知られています。国際的に認められている治療ガイドラインであるKDIGOでは、血中リン濃度を正常範囲(2.5 mg/dL 以上 4.6 mg/dL未満)に下げることが推奨されています。全世界で200万人以上の患者さんが透析または腎移植による治療を受けているというデータが知られている一方で、これは実際に治療を必要としている人々のわずか10%しか示していない可能性があるとも言われています。#

# Couser WG, Remuzzi G, Mendis S, Tonelli M. The contribution of chronic kidney disease to the global burden of major noncommunicable diseases. Kidney Int. Dec 2011;80(12):1258-1270.

トップへ戻る