tenapanor(KHK7791)の血液透析施行中の高リン血症患者を対象とした国内第3相臨床試験の結果について

協和キリン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:宮本 昌志、以下「協和キリン」)は、米国Ardelyx社(カリフォルニア州Fremont, マサチューセッツ州 Waltham、社長兼CEO:Mike Raab、以下「Ardelyx」)※1から導入した低分子化合物tenapanor(開発番号:KHK7791、以下「本剤」)※2の血液透析施行中の高リン血症※3患者を対象とした国内第3相試験(以下、本試験)について、主要評価項目を達成しましたのでお知らせします。

本試験は、国内における血液透析施行中の高リン血症の成人患者164名を対象に、本剤とプラセボ投与時の有効性および安全性を評価した二重盲検比較試験です。主要評価項目である投与開始8週後の血清リン濃度のベースラインからの変化量に関して、本剤投与群ではプラセボ投与群と比べて統計学的に有意な低下が認められました。また、安全性プロファイルはこれまでに実施した国内臨床試験と同様であり、新たな安全性の問題は認められませんでした。

本剤はArdelyxによって創製されたファーストインクラスのリン吸収阻害剤で、協和キリンは2017年11月にArdelyxとの間で、本剤の日本における高リン血症を含む心腎疾患領域を対象とした独占的開発・販売権を取得するライセンス契約を締結し、これまでに国内で3つの第2相臨床試験を実施しました。また、本試験に加えて、血液透析および腹膜透析施行中の高リン血症を対象とした3つの第3相臨床試験(リン吸着薬併用並行群間比較試験、腹膜透析施行中の高リン血症の患者を対象とした臨床試験、リン吸着薬切替え長期投与試験)を国内で実施中です※4

本試験結果の詳細は、今後、学会や論文等で発表する予定です。

協和キリングループは、ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により、世界の人々の健康と豊かさに貢献します。

※1Ardelyxについて
Ardelyxは腎疾患および心腎疾患患者さんの生活を向上させる革新的なファーストインクラスの医薬品の研究開発・販売に注力しています。Ardelyxは便秘型過敏性腸症候群(IBS-C)治療薬IBSRELA®(tenapanor)の承認を取得し、2022年の第2四半期に上市する予定です。Ardelyxは透析期の成人CKD患者における血清リン濃度をコントロールする新規医薬品候補としてtenapanorを開発中で、これまでに3つの第3相臨床試験を完了しています。また、Ardelyxはカリウム分泌促進薬RDX013について、腎臓病や心臓病の患者さんによく見られる血清中カリウム濃度の上昇(高カリウム血症)の有効な治療薬として開発中であり、さらに、CKD患者さんにとって重度の電解質障害である代謝性アシドーシス治療薬としても初期開発を行っています。Ardelyxは、日本では協和キリン、中国ではFosun Pharma、また、カナダではKnight Therapeuticsとtenapanorについて各地域の開発および販売に関する契約を締結しています。
※2tenapanorについて
tenapanorはArdelyxによって創製されたファーストインクラスの選択的腸管Na+/H+交換輸送体3(NHE3)阻害剤で、現在の標準的な治療薬であるリン吸着薬とは異なり腸管で局所的にNHE3を阻害するという新規メカニズムを有しています。このNHE3阻害という特徴的な作用機序を通じて、食事によるナトリウムの吸収を抑え、結果として細胞内のプロトン濃度を上昇させます。このプロトン濃度の上昇は、細胞間接着を強固にし、消化管からのリンの吸収を抑制します。また、本剤は経口投与で吸収されにくく、血中にほとんど曝露されない特徴を有しています。これまでに実施された非臨床もしくは臨床試験においてナトリウム以外の他のイオンに対して同様の現象は認められておらず、本剤の作用機序はリンに特異的であると考えられています。
※3高リン血症について
高リン血症は、血液中のリン濃度が異常に上昇する重篤な疾患で、主要先進国では74万5000人以上の透析患者さんが罹患していると推定されています。腎臓はリン濃度を調節する臓器ですが、腎臓の機能が著しく低下すると、リンが十分に体外に排出されなくなります。その結果、高リン血症は、透析を受けているCKD患者さんの罹患率が高い疾患となっています。高リン血症に対し唯一承認されている医薬品であるリン吸着薬による治療にもかかわらず、透析を受けているCKD患者の77%は、6ヶ月間にわたって5.5 mg/dL以下の血中リン濃度を一貫して維持することができません(Spherix Global Insights: RealWorld Dynamix, Dialysis 2019)。5.5 mg/dLを超える血中リン濃度は、透析を必要とする患者の心血管系の罹患率および死亡率の独立した危険因子であることが示されており(Geoffrey A. Block, et al.: JASN, 2004, 2208-2218)、国際的に認められた治療ガイドラインでは、血中リン濃度の上昇を正常範囲(4.6 mg/dL未満)に下げることが推奨されています。
※4KHK7791の国内第3相臨床試験について
2021年4月13日にプレスリリースを実施いたしました。詳細は以下のURLよりご覧ください。
https://www.kyowakirin.co.jp/pressroom/news_releases/2021/pdf/20210413_01.pdfpdfが開きます
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