抗FGF23完全ヒト抗体ブロスマブの国内製造販売承認の申請に関するお知らせ

協和発酵キリン株式会社(本社:東京、代表取締役社長:宮本昌志、以下「協和発酵キリン」)は、現在開発中の抗線維芽細胞増殖因子23(Fibroblast Growth Factor 23、以下「FGF23」)完全ヒト抗体ブロスマブ(開発コード:KRN23)について、FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症※1を予定適応症として、国内医薬品製造販売承認申請を厚生労働省に行いましたので、お知らせいたします。

ブロスマブは協和発酵キリンにより創製されたFGF23に対する完全ヒトモノクローナル抗体です。FGF23は、腎臓におけるリン排泄と活性型ビタミンD産生を制御することで、血清リンおよび活性型ビタミンD濃度を低下させる液性因子です。ブロスマブは、これまでX染色体連鎖性低リン血症※2(XLH)および腫瘍性骨軟化症※3(TIO)といったFGF23の過剰産生に由来した疾患を対象として開発が進められてきました。

FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症の患者さんにおけるリン排泄亢進はFGF23の過剰な作用により引き起こされています。ブロスマブは、これまで行われた臨床試験の結果から、XLHおよびTIOの患者さんにおけるFGF23の過剰な作用を阻害することで、腎臓におけるリンの再吸収を増加させ、腸管におけるリンとカルシウムの吸収を促進するビタミンDの産生を増加させることで、くる病あるいは骨軟化症の症状を改善することが明らかとなっています。

本剤は厚生労働大臣からFGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症を対象として希少疾病用医薬品の指定を受けており、協和発酵キリンは、本剤の国内医薬品製造販売承認は2019年9月頃を見込んでいます。

ブロスマブは2018年2月19日付で、X線画像診断で骨疾患所見を有し、成長期にある1歳以上の小児および青少年におけるXLHの治療薬として、欧州委員会(European Commission)から条件付き医薬品販売承認を取得しています。また、同剤は2018年4月17日付で、1 歳以上の小児および成人における XLHの治療薬として、アメリカ食品医薬品局(FDA)から医薬品販売承認を取得しています。

協和発酵キリン、協和発酵キリンの子会社であるKyowa Kirin International PLCおよびウルトラジェニクス・ファーマシューティカル※4の3社は、協和発酵キリンとウルトラジェニクスとの間で締結した協業およびライセンス契約に基づき、共同でブロスマブのグローバルな開発および販売に取り組んでいます。

協和発酵キリングループは、ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により、世界の人々の健康と豊かさに貢献します。

  • ※1: FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症
    FGF23作用過剰による腎近位尿細管リン再吸収障害、および 1,25(OH)2D 濃度低下に起因する、くる病・骨軟化症の総称で、本邦ではビタミン D 抵抗性くる病・骨軟化症に含まれる疾患として難病に指定されています。
    FGF23作用過剰の原因は、XLHにおけるphosphate-regulating gene with homologies to endopeptidases on the X chromosome(PHEX)遺伝子や常染色体優性低リン血症性くる病・骨軟化症(ADHR)におけるFGF23 遺伝子など、遺伝子変異によるFGF23の過剰産生が報告されています。また、遺伝子変異以外にも腫瘍性骨軟化症(TIO)では、主として間葉系腫瘍による FGF23の過剰産生が原因として知られています。
  • ※2: X染色体連鎖性低リン血症(XLH)
    XLHは、遺伝的な原因により血中のFGF23が過剰となることで、体内のリンが尿中に過剰に排泄され低リン血症となり、その結果として骨の成長・維持に障害をきたす希少な疾患です。
  • ※3: 腫瘍性骨軟化症(TIO)
    TIO及びその皮膚病変の変異型表皮母斑症候群(ENS)に伴う骨軟化症はFGF23を過剰分泌する一般的には良性の腫瘍や皮膚病変により生じるもので、尿中への過剰なリン排泄を引き起こすことにより、重篤な低リン血症や骨軟化症、筋力低下、疲労、骨痛、骨折を引き起こします。これらの症状は原因となる腫瘍や病変を切除すれば急速に改善しますが、摘出が不可能な場合や摘出しても再発する場合があります。切除不能な腫瘍や病変の場合、現在はリン酸製剤やビタミンD製剤による治療が行われていますが、この治療法は疾患そのものに作用するものではなく、また腎臓の石灰化や高カルシウム血症を引き起こすリスク踏まえて行う必要があるため、治療効果は限定的です。米国ではTIOの患者さんは500から1,000例程度存在し、その内の半数は切除不能と推定されています。
  • ※4: ウルトラジェニクス・ファーマシューティカル
    2010年に設立されたバイオ医薬品企業で、重篤な遺伝病に焦点を当て、希少疾病や超希少疾病の治療薬となりうる新規製品の臨床開発と製品化を行っています。同社は、承認された治療法がなく、治療メカニズムが明らかで、かつ医療ニーズが高い疾病に対する医薬品開発について、これまで多様なポートフォリオを急速に構築してきました。
    同社の経営陣は、希少疾患治療薬の開発と製品化に関する経験を有しています。 同社の戦略は、緊急性の高い患者に安全かつ効果的な治療法を提供することを目標に、時間と費用両面の効率に基づいたものとなっています。
    詳細な情報はこちらのHPをご参照ください。 https://www.ultragenyx.com/別ウィンドウで開きます
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