ここではスギ以外で花粉症を起こす樹木や草と、それぞれの花粉症の特徴を紹介します。
冬から春: | ヒノキ シラカンバ オオバヤシャブシ コナラ クリ オリーブ ハンノキ その他 |
夏から秋: | 草本花粉(イネ科・キク科) |
ヒノキ(ヒノキ科)
スギとヒノキの花粉は飛散時期がほぼ一緒ですが、通常ヒノキ花粉の方が少し遅れて飛びはじめます。
スギ花粉症シーズンの終わり頃にヒノキ花粉による症状が加わって症状が強くなることもあるので、花粉飛散情報を確認し、シーズンを通しての治療が必要です。
シラカンバ(カバノキ科)
飛散時期は4月中旬〜6月初旬頃で、主な症状はスギ花粉症と同様に鼻水、くしゃみ、目のかゆみです。また、口腔アレルギー症状*を起こすことがあります。リンゴやキウイなどの果物を食べると口の中がかゆくなったり腫れたりします。
*出典:鼻アレルギー診療ガイドライン-通年性鼻炎と花粉症- 2020年版(改訂第9版):P101,2020
ヒノキ、シラカンバなどカバノキ科の花粉症の人が果物を食べたときに、口の中がかゆくなったり腫れたり、といったアレルギー症状が起こることがあります。
その原因は、果物のタンパク質と、カバノキ科の花粉のタンパク質がよく似ており、花粉に反応する人はこれらの果物にも反応してしまうことがあるからです。生で食べたときだけ症状が起こり、ジュースや調理した果物では起こりにくいといわれていますが、個人差があるので油断禁物です。
花粉症の人がアレルギーを起こしやすい果物:リンゴ、モモ、さくらんぼ、カキ、キウイなど。
オオバヤシャブシ(カバノキ科)
主な飛散地域は過去に大量植樹が行われた兵庫県の六甲山周辺だったのですが、最近では新興住宅地を中心に全国的に植樹されるようになり、オオバヤシャブシの花粉症は拡大傾向です。カバノキ科なので、シラカンバ同様に口腔アレルギー症候群が起こることがあります。
コナラ、クリ(ブナ科)
ブナ科にはブナ属、コナラ属、シイノキ属、クリ属などがありますが、主に花粉症の原因となるのは、風媒花(風によって花粉をめしべまで運ぶこと)であるコナラ属(コナラ)です。
コナラの花粉が終わると、今度は虫媒花(虫によって花粉をめしべまで運ぶこと)であるクリの花粉症が起こります。
コナラ
クリ
オリーブ(モクセイ科)
オリーブ花粉症は、
ヨーロッパ地中海沿岸の代表的な花粉症。
カモガヤと飛散時期が重なることから、オリーブとカモガヤ両方にアレルギーを示す人もいます。
ハンノキ(カバノキ科)
北海道では、本州のスギ花粉と同じ頃に飛散がはじまるため、スギ花粉症と勘違いされることもありますが、北海道にスギはほとんど生えていないため、2〜3月の花粉症はハンノキによるものです。
シラカンバ同様に口腔アレルギー症候群が起こることがあります。
その他、花粉症を起こす樹木と飛散時期、生息地域
植物名 | 飛散時期 | 地域 |
---|---|---|
ケヤキ (ニレ科) |
4月〜5月 | 本州、四国、九州の比較的温暖な地方 |
イチョウ (イチョウ科) |
4月〜5月 | 日本全域 |
アカマツ (マツ科) |
4月中旬〜7月上旬 | 北海道南部から九州の山野・丘陵で、北方地域は海岸付近に集中 |
ネズ (ヒノキ科) |
3月〜6月中旬 | 岡山県を中心とした日当たりの良いやせ地に集中 |
ケヤキ
イチョウ
アカマツ
ネズ
イチゴ(4〜5月)、リンゴ(4〜5月)、バラ(3〜5月)、ウメ(2〜3月)などでは、これらの植物を栽培している人に起こる一種の職業病といえる花粉症が報告されています。これらは虫媒花であり、花粉は遠くまで飛ばないため、日常的に触れる人に限って起こるのです。
人工交配作業(花粉をおしべからめしべにつける)をするときに長そで、長ズボン、メガネ、マスクを着用するなどして花粉に触れる量を減らすことで予防します。
身近な植物の花粉「草本(そうほん)花粉」
スギやヒノキなどの花粉は高い木から風に乗って数10kmも飛散しますが、これらの草本植物は丈が低く、花粉は数10mの範囲にしか広がりません。そのため、その植物が生えている場所に近づかなければ、かなり花粉を避けることができます。花粉が飛散していない時期に、それらの植物が生えている場所を確認しておき、花粉の飛散時期が来たらそこには近づかないようにすると良いでしょう。
イネ科の植物では、スギ・ヒノキ花粉症と同じような鼻の症状、目の症状に加え、皮膚のかゆみなど全身症状が出やすいことが特徴です。
どちらも花粉の飛散時期は5〜8月で、夏の花粉症の代表格となっている。牧草として栽培され、道端や河川敷にも生息する。
カモガヤ
オオアワガエリ
キク科の植物が原因の場合、症状はスギ・ヒノキ花粉症と同様、鼻や目の症状が起こります。ブタクサはどこにでもあるので、近所に畑や河川敷がある場合は特に注意しましょう。
ヨモギ
全国的に広く分布。
8〜10月に花粉が飛散する。とても繁殖力が強い。
ブタクサ
秋の花粉症の代表格。
道端や河川敷など、全国的に広く分布している。
※ブタクサは「マッカーサーの置き土産」と呼ばれるように日本には第2次世界大戦後に米国から帰化した植物だといわれています。また、カモガヤも明治時代に日本に広がりました。
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