抗体について

抗体の働き

私たちのからだに本来備わっている抗体には、大きく分けて以下の5つの働きがあります。

中和作用
(Neutralizing activity)

侵入した病原体や毒素などの抗原に結合し、毒性を失わせて無力化します。
たとえば、がん細胞には、増殖因子などの刺激によって増殖するものがありますが、刺激を受け止める受容体に抗体が先に結合すると、標的細胞の増殖を止めることができます。

補体依存性細胞傷害活性
(Complement Dependent Cytotoxicity)

抗体が標的細胞(がん細胞やウィルスなど)の抗原に結合すると、複数の血清タンパク質(補体)が次々と反応して活性化。すると細胞の表面で一連の反応が起こり、標的細胞を溶解します。

抗体依存性細胞傷害活性
(Antibody Dependent Cellular Cytotoxicity)

がん細胞などの標的細胞の表面にある抗原に抗体が結合すると、その抗体がマクロファージNK細胞などの免疫細胞を呼び寄せ、標的細胞を攻撃する物質を放出して殺傷します。

抗体依存性細胞貪食活性
(Antibody Dependent Cell mediated Phagocytosis)

体に異物(病原体)が侵入すると、その病原体の表面にある抗原に対応した抗体が作られ、異物を食べて消化するマクロファージや、細菌を食べて体を守る白血球の1つである好中球を活性化。さまざまな病気の原因となる細菌やウィルス、がん細胞などを撃退します。

アゴニスト活性
(Agonist activity)

抗体が細胞表面の標的分子に結合し、シグナル伝達機構を活性化する働きのことです。その結果、細胞の状態を変化させたり、細胞死を引き起こしたりします。

トップへ戻る