骨髄異形成症候群(MDS)とは?
骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes:MDS)は、正常な血液がつくられにくくなる病気です。
骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes:MDS)は、造血幹細胞(血液細胞になるおおもとの細胞)に異常が生じて、正常な血液細胞(赤血球、白血球、血小板)が減少する病気です。血液細胞は骨の中心部分にある「骨髄」という場所でつくられ、成熟し、血液中へと出てきます。MDSでは骨髄中での血液細胞の成熟異常の結果、血液中の血液細胞(赤血球、白血球、血小板)が不足することによって、貧血、感染に伴う発熱、出血傾向などの症状がみられます。どのような症状が出やすいかは、減少する血球の種類によって異なります。
MDSの原因
骨髄異形成症候群になる原因は、多くの場合、わかっていません。これまでに抗がん剤の治療を受けた方、原爆被爆によって放射線を受けた方にMDSが増えることが知られています。
最近、MDSの細胞では、遺伝子に異常(「変異」と呼ばれます)が生じていることが明らかになってきました。高齢になること以外に、治療に必要でその効果も大きいことが期待される抗がん剤や放射線照射自体もまた、患者さんの遺伝子に傷を付けることがわかっています。
こうしたことから、何らかの原因で血液を作る細胞の遺伝子に傷が付き、変異が生じてMDSが発症すると考えられています。
出典:直江知樹 編集『白血病/骨髄異形成症候群(インフォームドコンセントのための図説シリーズ)』
医薬ジャーナル社, 2013, p.16
MDSの発生頻度
骨髄異形成症候群は、高齢者に多い疾患です。国内の詳細な患者数は明らかではありませんが、加齢とともに増えることがわかっています。1980年代から2000年にかけての英国、ドイツなどからの発表では、人口10万人あたり年間に3~4名程度の発症があると考えられています。
出典:直江知樹 編集『白血病/骨髄異形成症候群(インフォームドコンセントのための図説シリーズ)』
医薬ジャーナル社, 2013, p.16