製剤開発研究新薬の開発に向けて

中野 駿馬ナカノ シュンマ
生産本部 CMC研究センター製剤2グループ
2020年4月入社

入社までのプロフィールを教えてください

薬学部製薬化学科を経て、大学院の薬剤学教室に進み、最初の就職先は富山の製薬会社でした。新薬の研究に携わりたいと思っていた私は、希望通りCMC研究の中でも製剤開発研究部門へ配属となり、約6年半にわたって処方研究から治験薬製造に及ぶ幅広い業務に携わりました。このときの経験は、以降の私のキャリア形成において、大きな財産になったと感じています。
その後、商用生産へのスケールアップや、申請までの薬の後期の開発に興味を抱いた私は神奈川の製薬会社へ転職。日本の製剤技術を海外の工場に移管する業務に携わりました。日本国内でスモールスケールで生産していたジェネリック製剤を、海外のプラントに移してより大きな大量商用生産を行う技術移管ですね。この経験を生かし、やはり自分は新薬研究のフィールドで力を発揮したいと考えるようになりました。これまでの薬ではどうしても救えない患者様もいて、そんな人たちのために自分の知見を生かした新薬を開発したいと思いました。

入社のきっかけは?

転職にあたり、様々な製薬会社を調べていく中で、協和キリンに出会いました。印象的だったのは、抗体や核酸などの様々なモダリティが揃い、医薬基盤の研究にも注力している点でしたね。この環境ならば、今までにない新たな薬が開発できそうだと確信しました。
そして、何より私の背中を押してくれたのが、協和キリンのホームページに掲載されていた「私たちの志」というメッセージです。これは、2008年の設立を前に社員と経営陣とが議論を重ね、作成されたものです。病気と闘うすべての人に笑顔を届けるため、いのちに真摯に向き合う。そして医療関係者とともに、いのちと歩み続けていく。本文は「たった一度の、いのちと歩く。」をテーマに展開されており、そこに記された製薬会社で働く者としてのポリシーに共感しました。この会社で、同じ志をともにした仲間とともに新薬の研究に挑戦したいと、心に誓った瞬間でした。

現在の業務内容と、やりがいを教えてください

私が所属するCMC研究センターでは、Chemistry(化学)、Manufacturing(製造)、Control(品質管理)の情報をベースに、原薬プロセス研究と製剤開発研究、品質評価研究を行っており、私は製剤開発研究を担当しています。製剤というと錠剤をつくるイメージがあるかもしれませんが、実際は原薬グループや分析グループとプロジェクトを組むケースが多く、互いがスムーズに連携することで新たな物性を特定するなど、新薬の開発に向けた研究を行っています。
たとえば、水に溶けにくい原薬を製剤に活かしたいというケースでは、原薬のどのような物性が製剤時の溶出性に影響するのかを評価していきます。そこでは一般的に評価する粒子や密度、結晶形といった物性よりも、さらに深い部分に切り込んで探索しなければなりません。原薬の形状などを追求し、解析ソフトを用いて様々なデータ比較を行うなかで、原薬のこの物性が溶出性に関連するということを導き出せたときは嬉しいですし、こうした地道な積み重ねが、新薬開発のひとつの軸になっていくことに、大きな可能性を感じています。
そうした研究と並行して、現在私は抗がん剤の治験薬製造を海外CMO(医薬品製造受託機関)で製造する業務にも携わっています。海外のCMOと連携し、治験薬を製造してもらうのですが、そのスケジューリングや技術移管プロセスをコントロールするには、相応の知見が必要になります。私は前職で日本の製剤技術を海外の工場に移管する業務に携わっていたこともあり、当時の経験やノウハウを活かすことができるのは嬉しいですね。

協和キリンで働く魅力とは?

協和キリンの良さは、社員一人ひとりの想いに寄り添ってくれるところです。私自身、入社時に「こういった技術に挑戦したい」と希望を話していたところ、念願叶って入社後すぐに任せてもらえました。社員ファーストの体制によって、さらに向上心が刺激されていると実感しています。
また、協和キリンには、興味のある研究テーマに対し、志を同じくする社員が集まって探索するワーキンググループがいくつもあり、誰もが自由に参加できます。様々な部署のメンバーが集まって研究テーマそのものを探すという活動もあり、日々当たり前にチャレンジできる環境が広がっています。
ちなみに、CMC研究センターは静岡県三島市にあります。車だと片道15分ほどで、健康を意識して自転車通勤する人も多いですね。また、三島の近くには伊豆の玄関口である沼津港があり、水揚げされたばかりの新鮮な魚介類が味わえると聞いています。あいにく私が入社したタイミングが自粛期間だったので、なかなか足を運ぶチャンスがありませんが、コロナ禍が治まり皆で楽しめる日が待ち遠しいです。

今後の目標について教えてください

CMC研究センターの業務は、私が所属する製剤開発研究以外にも原薬プロセス研究や品質評価研究、さらには臨床や申請にまで関わることもあり、非常に幅広いといえます。ゆくゆくはそうしたセンター内で展開している複数のプロジェクトや研究テーマをマネジメントし、海外を含む多くの患者様に新薬をお届けしていくことが、私の目指すゴールだと思っています。
そのためには製剤の専門性を高め、原薬や分析にも精通しなければなりません。まずはそのあたりをしっかり意識しながら自己研鑽に励みたいですね。そしてさらにはQA(品質保証)の見識と、申請業務に必要な海外各国のレギュレーションの知識獲得にもチャレンジしたいと考えています。CMCに必要なのは、トータルで全領域を俯瞰できるゼネラリストとしての視点です。そこに自分がどこまで迫れるか、私自身が楽しみながら成長し続けたいですね。

ページトップへ

Entry & Mypageエントリー・マイページ