CMC研究医薬品を世に出すために
欠かせない存在
- 大樂 美奈ダイラク ミナ
- 生産本部 バイオ生産技術研究所 品質物性グループ
2020年5月入社
入社までのプロフィールを教えてください
大学院の医学研究科でウイルスの分析や研究に取り組んでいた私は、その知識が活かせる分野への就職を希望し、バイオ医薬品の分析を行う企業へ入社しました。そこではELISA(イライザ)法など手を動かして分析する業務が中心で、入社して1年目にはシステム導入に関わるなど、様々なスキルを身につけることができました。
しかし2年が経った頃、会社が所属する企業グループが変わったことを機に転職を決意。分析には試験法の構築も重要であり、そろそろその方面での経験も積みたいと考えていたタイミングだったので、躊躇はありませんでしたね。転職にあたっては、試験法の構築に一から携われるか、分析方法の積み上げができる環境かといった点にこだわって企業研究を行っていました。
入社のきっかけと、入社後に感じたギャップとは?
協和キリンに興味を持ったのは、発酵技術をベースにしたバイオテクノロジーを有しており、それを用いたバイオ医薬品に大きな魅力を感じたからです。特に抗体に関しては、協和キリンが独自の技術を有していることを知っていたので、そうした高い技術力のある会社で仕事の幅を広げたいと思いました。
私は高崎事業場で面接に臨みましたが、高崎工場とバイオ生産技術研究所が一体となっており、その規模感に圧倒されたことを覚えています。どのような分析を行っているか、試験法の構築に携われるかなど、人事担当の方々とのコミュニケーションを通して業務内容や職場環境について知ることができたので、安心して入社しました。
入社後に感じたのは、転換期を迎えている企業だということ。デジタル化を推進していると聞いていたので、こんなところもデジタル化しようとしているのかと驚かされる場面もあれば、今後デジタル化が必要だと感じる箇所もあります。面白さと同時に大きな伸びしろを感じたことが印象に残っています。
現在の業務内容と、やりがいを教えてください
私が所属する品質物性グループには47名が在籍し、バイオ医薬品の申請に向けた分析業務を多岐にわたって担っています。グループは3つのチームに分かれ、私はELISAや細胞を用いた試験などを主に担当するAssay(アッセイ)チームに所属しています。今取り組んでいるのは分析に用いる試験法の構築です。試験法の構築はまず検討試験を実施し、この試験法なら大丈夫だろうという条件を固めていきます。続いてその試験法が本当に相応しいか否かを見定めるために試験日を変えて何度も繰り返し試験を実施し、試験法の性能評価を行い、精度がよく、品質の劣化が判断できる試験法であることを確認します。その後、一連のデータや進捗を報告書にまとめ、プロジェクトは終了です。Assayチームではひとつの試験法を開発するにあたり3名前後で仕事に取り組みます。しかし同時期に複数のプロジェクトが進行する場合も多く、「試験法A」の構築を優先的に行う必要がある場合は、3名のうち1名が抜けて「試験法A」のプロジェクトに加わるなど、流動的に対応しています。
私が構築する分析法の中には、完成した医薬品を世の中に流通させて良いか否かを分析するための出荷試験も含まれます。その試験法により医薬品の品質が評価されるわけですから、責任は重大であり、当然何重にもハードルがあります。さらには製造販売承認申請時には、この品質はこういう試験法により分析しましたというデータを合わせ提出するなど、医薬品を世に出すためには欠かせない分野です。
やりがいを感じるのは、やはり自分の構築した試験法が性能評価をクリアし、医薬品の品質を分析するための頑健な試験法が構築できたときです。
協和キリンで働く魅力とは?
働きやすさと、将来に向けての投資を惜しまないところでしょうか。私が所属するAssayチームは年齢が近いメンバーが多く、公私共に仲が良いです。また上司とは1 on 1 ミーティングを毎月実施していて、意見を交わしやすい環境が整っています。所属グループでは今年からチューター制度がスタート。新卒だけでなく中途入社の方も対象のため、マンツーマンでの指導により働きやすい環境が整っていると思います。
一方、将来への投資に目を向けると、新たな技術開発に注力している点が掲げられます。私たちが分析工程で疑問に思った部分や技術的に不足している部分を会社側は積極的に回収し、今後に活かす視点で技術開発に取り組む環境を提供しています。たとえば最近では、これまで紙ベースで行われていた様々な試験の操作記録を電子ラボノートに転換し、集約することで圧倒的に作業効率が高まりました。私自身もチームで使用する電子ラボノート用のテンプレート制作に関わっており、各々の分析に役立てられるような構成にまとめているところです。電子ラボノートを利用することで、第三者が試験内容をチェックする際にもデータ捜索の手間が減り、スムーズに確認できることから、紙ベースに比べ業務量が激減し、評判は上々です。
職場環境の魅力とは?
現在は会社が用意した借上げ社宅に住んでいます。高崎駅のすぐ近くなので、周辺のお店も充実しており、生活するには便利ですね。会社は高崎駅から車で20分くらいの少し離れた場所にありますが、会社専用バスが循環しているので通勤もスムーズです。私が所属するバイオ生産技術研究所と高崎工場は隣接しており、とても広大な敷地なので余裕を感じながら通勤できます。
高崎市は、ほどよく都会でほどよく田舎といったイメージでしょうか。自然が豊かで様々な山が近くにあり、登山やハイキングが好きな方なら、休日が待ち遠しくなるかもしれません。
今後の目標について教えてください
Assayチームでは、分析の試験法を構築するだけでなく、分析で得られた結果をもとに医薬品の特性を評価し、世界の様々なエリアにおいて医薬品の製造販売を申請するための承認申請書を作成する業務も担っています。しかし私は入社して2年ということもあり、申請書類の作成にはまだ携わったことがありません。今後は先輩たちの背中を追いかけながら、そうした最後の部分まで完遂できる技術者を目指したいと思っています。
協和キリンは社内の風通しが良く、疑問に思ったことは仲間や上司に気軽に相談できるフランクな風土が根付いています。私自身も、これから入社される方にとって頼りになる先輩でありたいですね。