花粉症の症状を長期にわたり抑えたり、症状をやわらげ、治療薬の減量が期待できるアレルゲン免疫療法。
特にここでは、近年関心が高まる舌下免疫療法についてご紹介します。
アレルゲン免疫療法とは、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を少しずつ体内に吸収させることで、アレルギー反応を弱めていく治療法です。
アレルゲンを体内に入れる方法は、主に注射による皮下免疫療法と舌の下の粘膜から投与する舌下免疫療法があります。
従来、アレルゲン免疫療法は皮下免疫療法が中心でした。しかし、舌下免疫療法では注射の痛みや通院の必要がないこと、そして全身におよぶ副作用の発現率が低いため安全面から、注目されています。
舌下免疫療法は、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を含むエキスを舌の下に投与し、体内に吸収させる方法です。この投与を継続的に行うことで症状を軽減させていきます。
治療期間は3~5年が推奨されています。毎日1回継続する必要があります。投与する量に関しては、増量期(1週目)と維持期(2週目以降)で異なります。
スギ花粉症の治療の場合、花粉が飛びはじめてから開始するとアレルゲンとの接触量が増えてしまうことから、花粉飛散の3ヵ月前からの治療が必要です。
2月ぐらいから花粉飛散がはじまることを考えると、少なくとも11月以前に開始することが望ましいです。
具体的な治療開始時期については医師に相談しましょう。
スギ花粉症における舌下免疫療法に年齢制限はありませんが、小児や高齢者への使用経験はありません。
医師に相談して治療の可否を判断してもらうことが大切です。
主に以下の方についてはアレルゲン免疫療法を適応できないケースもありますので、お医者さんとよくご相談ください。
・妊娠されている方
・喘息や気管支喘息の症状が強く出ている方
・ステロイドや抗がん剤、β阻害薬など特定の薬を使用されている方
…など
鼻アレルギー診療ガイドライン-通年性鼻炎と花粉症-2020年版(改訂第9版):P59, 2020. 第5章 治療(アレルゲン免疫療法)より
服用後のアレルギー反応など、副作用の発現の恐れもあります。
服用に際して、以下の注意点をきちんと守りましょう。
・舌下への投与後、5分間はうがいや飲食を避ける。
・舌下への投与前後、2時間程度は入浴や飲酒・激しい運動を避ける。
稀ではありますが、アナフィラキシーショックなどの副作用が報告されていますので、専門のお医者さんの指示のもと治療を行う必要があります。
主な副作用は、口腔内の腫れやかゆみなどの局所的な症状となります。
◎舌下免疫療法は、お医者さんとよくご相談のうえ、治療を行うことが大切です。